5年間の苦境のあと

◇ドーハ世代

長谷川健太森保一の「ドーハ組」でのJ1王者を巡る戦いの翌日、井原正巳率いるアビスパ福岡プレーオフを戦い、5年ぶりのJ1復帰が叶うこととなった。
3人とも、共通してJリーグ創設時にプレーした経験を持つ監督で、鹿島の石井正忠や磐田の名波浩も含め、今季は彼らの世代が戦いの中心にあった。
今後は、ますますJリーグの指揮官の世代交代が顕著になってくるように思う。



◇感謝しかない

アビスパ福岡の、尋常ではない5年間(加えて2006年の大幅減資からの10年間)を振り返ると、何千文字、何百文字費やしても足りない。
それほど、大きな艱難辛苦の時期であった。
赤字を抱えた地元企業の九電や九電工の財務的な支援がなくなり、大きなスポンサードを続けたコカコーラはラグビーへと専念し、クラブとしての後ろ盾がなくなっていく中、更に下降するチームの成績によって観客数は激減した。途中、西鉄さんの大きな支援はあったが。
結果としてクラブ消滅の危機を迎えた。

その際、救いの手を差し伸べた中洲のふくやさんや、手を差し伸べてくれた全国の他のクラブのサポーターのご支援には、ただただ感謝するかない。
また、今年度のスタートに当たり、増資に参加してくれたアパマンさん。
それだけではなく、アパマンは有能な企業の幹部をトップとしてクラブに差し出してくれた。

あわせて、コカコーラが去った後、長年、主たるスポンサーが不在であった中、手を差し伸べてくれたのが福岡地所
キャナルシティやマリノア、木の葉モールなどを運営する地元の大手ディベロッパーの大きな支援は、本当に心強いものがある。

クラブを救ってくれたそれらの企業のその勇敢さには、ただただ感謝するほかない。


低迷するチーム成績、希望も夢もないどん底のクラブに、来てくれた井原正巳氏。
また井原氏をサポートする役割の三浦文丈コーチや鈴木健仁強化部長。三人は旧知の間柄である。

3人の救いの神にはただただ感謝するしかない。
この3人であれば、J制覇までの長い道のりもそれほど遠くないように思う。



◇聖地国立にも行ける夢

昨日、聖地・国立競技場への個人的な(特別な)想いを書いた。
ナビスコ杯や天皇杯の決勝の舞台であった「国立」。

今日の試合前、長居陸上競技場のゴール裏に全国から集う場面を画面で眺めて、その一つになった大集団を見て、自分たちも、今ならあの「国立に立てる」という確信を得た。

井原正巳の指導によって、チームは小さなことに動じなくなり、強い意志と最後まで粘り強く戦う意識が浸透してきた。

サポーターも(苦難の時を経ることで)小さなことに動じなくなり、相手をリスペクトできる強さを身に着け、大きな舞台へ立てる準備をしてきた、ともいえようか。


今なら言える。すべての時間は無駄ではなかった、と。


*次回は「トッティになった城後寿」について、時間あるときに。