ダイエー球団社長辞任へ

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さて、
プロ野球パリーグダイエー球団の土台は、故・根本陸夫氏の手腕によるものである。
監督としての根本氏はたいした実績をあげなかったが、GMとしてあるいは、球団社長としての彼は優れて親分肌で見事な統率者であった。
私が、理想的なチームを作ろうと思えば、存命であれば、根本さんをまずGM候補の筆頭に置くだろう。

彼が一声かけてダイエーに連れてきた選手は、枚挙にいとまがない位であるが。
田淵(監督)を呼び、優勝請負人と言われた工藤を連れて来、巨人へ行く予定だった秋山をさらい、東都のスラッガー小久保に話をつけ、情の松中には情でほだし、現在のダイエーのように人が人を呼ぶ状況にしたのである。

井口は、青学の先輩である小久保の存在が大きかったし、今年の宮崎キャンプで、巨人の集客を圧倒して引き離したのは、新垣や寺原や川崎など若手の台頭があるからだが、彼らは、決して現社長が自ら努力して入団させたのではない。根本さんが命がけで説得した王さんの存在や、尾花や新井など有能なコーチの存在が大きいのだ。

そして、高塚氏は、社長として、何をしたか?

彼の功罪の功は、福岡ドームに人を集めたことであろう。
地元のすべての百貨店、小売店、商店街に対し、ダイエーのロゴの使用をフリーにしたこと。
優勝セールするのに、球団の許可などいらなくしたのだ。

彼は、ビジネスの視点で数々の策を考え出し、観客を集める天才だったのだ。
ドーム内部を眺めながら、お酒飲んだり食事できるラウンジに入場するのに、ゲームがあろうがなかろうが、入場料とったのは、彼のアイデアだ。

また、彼の手にかかれば2軍のウエスタンリーグのゲームでも福岡ドームを満員にすることもできる。

福岡ドームは、毎試合4万8千人の観客であふれている。しかし、本当は、その1万人は水増しなのだ。これも彼のアイデアである。
3万9千人よりも、4万8千人の方が球界においては、東京ドームや甲子園と比べても、響きの良い数字なのだ。

さて、彼の罪は?

小久保の自尊心を深く傷つけ巨人へ追いやったのは、ホンの最近のできごとだが、一番大きいのは、それほど能がない若いオーナーに代わり、球団を私物化(公私混同)しようとしていることだろうか。

勝利ゲームの後のベンチ前、選手同士でハイタッチの習慣があるのだが、そのどさくさに、彼は、知人や友人をベンチに招き入れ、選手とハイタッチさせていた。今シーズンは自粛しているようだが。彼は球団社長として、チーム運営をしていただけでなく、神聖なベンチの中にまで「私」を持ち込もうとしていた。
高塚氏は、選手にもっとも人気のない、煙たい球団社長であった。
今回の社長辞任騒動、ダイエーは、オーナーも含め親会社の持ち株比率が大幅ダウンし発言権が大きく低下していることも大きい。

「ダイヤモンド」も「経済界」も、大中企業の管理職に無理やり押し売りして安定販売数を保っている。
しかし、トップになれば、大手の企業から尊重される役回りにはなるだろう。
それが彼の、憧れの地位なのだろう。

高塚氏が、これ以上、選手を傷つけないうちに、早く辞任すべきだろう。
巷のウワサでは、気の優しい大黒柱の松中までが、高塚氏を敬遠していると言う。

有能なビジネスマンである高塚氏の、ハートのないビジネス優先のやり方が曲がり角にきているのかも知れない。