総括

Jリーグ開幕の足音がいよいよ聞こえてきた。各チームはこれからキャンプに向かう準備をする。新体制で取り組むクラブ、新たに戦列に加わったクラブ、今の時点ではスタートラインはどこも同じ。どこも昨年の結果は”リセット”され、ゼロスタートだ。各チームは、新たに加入・移籍してきた選手たちを交え、これから戦うチームへと鍛え、仕上げていく。
さて、時間が中々取れなかったので、今頃になってこの冬の高校サッカーの録画を見たりしている。
高校サッカーの「総括」は、私としては「エルゴラッソ」が一番に読み応えもあり、どのスポ新もサッカー雑誌にも、太刀打ちできない内容であった。
しかし、中倉さんが主宰する「2002world.com」も、この冬を総括する上では読んでおくべき内容であると思うので少し紹介したい。3回シリーズが26日に終結した。
[サッカーのある風景:シーズンオフ特別企画]
第83回全国高校サッカー選手権備忘録(前編)

『決勝戦終了後、市立船橋のディフェンシブ・ハーフ・中村勇紀は、一番強かった対戦相手として東福岡高校の名前を挙げた。「手ごわかったチームはやっぱり東福岡ですね。あのサイドの攻めは本当にいやらしいです。もう、攻撃パターンは決まっているし、分かっているけれどもやられてしまう。東福岡に勝てたのは本当に自信になりました」。滝川第二を降した星稜、東福岡を降した市立船橋は、強敵を破って波に乗った。』

市船DFは、この後、準々決勝で鵬翔の興梠を抑え、そして準決勝で本田のいる星陵対戦し、次々と強豪と渡り合った結果、決勝まで勝ち上がっていく。この大会での選手たちの成長は目を見張るほどであっただろう。
第83回全国高校サッカー選手権備忘録(中編)

『そして広島観音高校。全体練習は週3日。レギュラーの選出から交代選手、そして戦術の決定まで全てを選手たちが自主的にこなす。「選手たちが自分たちでチームを作ったということは、他のチームにはないこと。今日はいろんな面で負けることなく戦いに挑んでいた。ホントに(生徒たちに)任せられるチームに仕上がったなと思います」(畑監督・広島観音)。敗れはしたが彼らはスタイルを変えないだろう。そしてまた、自分たちで作ったチームで全国の舞台に進んでくるはずだ。』

このようなユニークな「指導」も指導者としては忍耐を強いるものであるだろうが、それを結果に繋げていくことが素晴らしいと思う。選手たちのチームワークは、どこよりも強く、固いものであることだろう。
第83回全国高校サッカー選手権備忘録(後編)

『「ずば抜けた選手がいない」「こじんまりとまとまったチームばかり」。取材現場では、そんな言葉を何度も聞いた。しかし、それでも彼らの戦いに心を打たれた人は多かったのではないか。技術、戦術レベルを語れば、確かに物足りないことはあっただろう。しかし、高校生活で積み重ねてきたものの全てをぶつけ、仲間とともに目の前の勝利のためだけに全てを尽くした戦いの数々は、精一杯力を尽くすことの大切さを私たちに改めて教えてくれた。「年を取ったのかなあ。なんだか涙腺がゆるくなってしまって、ファインダーを覗いていたら涙が流れてくる場面が何度もあったんですよ」。友人のカメラマンは、そうつぶやいた。』