ホーム開幕戦

博多の森は冬に逆戻り。気温も低く、冷たい風で耳が痛いほどだった。
今シーズンのホーム開幕戦は、対戦相手に水戸。
■前節、惜しい戦いをした水戸

水戸に加入したFWデルリスは前節・京都戦で来日初ゴールを決めている。中々の突破力と個人能力を有したセンターFWで、怪我さえなければ今季かなりの得点をするものと思う。
水戸は、京都戦では本来の4−1−4−1から、4−4−2にシステムを変えて京都のロングボールに対応したらしいが、後半息切れして2−3と逆転され、惜しい敗戦となっている。

水戸は、FWの金子を秦に代えているのみ。他は前節・京都戦と同じメンバー。
■主将・千代反田、故障欠場
アビスパは、MF宮崎光平が左太もも裏の張り、DF千代反田充が左足首炎症で欠場。
DFラインは、右から4川島、15宮本、32岡山、3アレックス。

千代反田の代わりは176cmだが身体能力の高い宮本亨(23歳)

MFは、サイドに、22中村北斗、27田中佑昌ボランチには、キャプテンマークを巻いた8ホベルトと、6松下。

田中は、FW登録の福岡ユース出身(19歳)。前節・鳥栖戦でも後半に18分ほど出場したが、ホーム開幕戦での先発のチャンスを生かしたいところ。

FWは、鳥栖戦に続いて9林と18有光。

このふたり、前節・鳥栖戦は数多くのチャンスとシュート数(16本)を放ちながら得点に至っていない。中でも鳥栖戦での林は、決定的なシュートを数本放っただけでなく、ポストも、タメもうまく作れていた。
エジウソンに代わるFWグラウシオの移籍入団もあり、ここはひとつFW林に注目したい。


ホベルトは神!
結論からいえば、4−1と水戸を圧勝した要因は、ふたりのボランチにある。
2得点した中村北斗の件は後述するとして、なんといってもこのゲームのMVPは、ホベルトだろう。

昨年からここでも何度か書いてきたのだが、このゲームで、名実ともにアビスパホベルトのチームになった。できれば今後も、キャプテンマークは彼に巻かせたいと思った。
彼の判断力、ゲームを作る能力。そして何よりもその足元の技術。J1のチームでさえも、ホベルトほどの能力を有している選手はそれほどはいない。
彼がボールを奪うと、瞬時にアビスパのサイドが大きく開く。FWは裏へと抜け出そうとする。(もちろん、この辺りはTV観戦では見えない)ホベルトは、ピッチを大きく、広く使うチーム戦術に、うってつけの選手だと私は思っている。DFアレックスのフォローがあることも、ホベルトを生かしているのだが。

今日は、松下も良かった。

危機察知能力は並以上のものを元々持っていた選手であるが。
松下は、足元がしっかりしているからボールを奪ってからの展開能力が高い。彼のレベルアップによって昨年のさばくだけの米田と比べても、今季の方がはるかに上だと思う。

今日のゲームは、この両ボランチのレベルの高さに、水戸はやられた。

水戸にボールが渡っても”バイタルエリア”にはほとんどボールがいかなかった。セカンドボールも、ことごとくホベルトが拾っていた。
前半に、FWデルリスの個人技による突破から失点したシーン以外は、水戸は、バイタルエリアには、1,2度位しか入れなかった。

アビスパのDF陣には、まだ不安定さが若干残っているが、今日の両ボランチは、それを補って余りあるものがあった。
このコンビは、なかなかの能力があると思うし、この先、J1相手でも十分に機能するだろう。
TV画面では写らない場所での、声かけ、ケア、指図など、まさにホベルト様・縦横無尽といった感じだった。これこそが、私が一番見たかったシーンだ。

■統率官としての岡山のことなど
このゲームでは、水戸にはニ度崩されたDF陣であるが、FWデルリスに突破された得点シーンは個人能力であっても今後の課題。岡山の高さに、制空権はアビスパが握っていたが、フィードに特徴がある宮本とのふたりのコンビは、中々安定していた。
組織で守るのがアビスパの特徴だが、現在のチーム戦術に岡山はフィットしている。ただ、千代反田が入った時に比べるとラインが3mほど低く感じたのは、デルリスのケアにあるのだろうが。もう少しオフサイドは取れたと思うし、その点はチャレンジして欲しかった。
田中は前を塞がれること多く残念ながら消えている場面が多かった。案の定後半20分に喜名と交代した。
W林は、鳥栖戦でできていた前線でのボールキープができていなかった。CKをヘディングで決めたが、それ以外は見るべきところが余りなかった。
中村北斗「鮮烈デビュー!」
中村北斗は、U−20に限らず、いずれフル代表に呼ばれるだろうと思う。
今日がホームでの初デビューの日だったが、彼はモノが違う。
勿論、まだチームの中での連携に加担してない点や、ゲームの読みに幼さが垣間見えるが。
私は、このまま、何事もなく、大きく成長していって欲しいと思う。

特に、後半25分に、ゴール前でドリブル突破からゴールしたシーンは圧巻だった。水戸の4,5人の守備陣でさえも、彼のスピードとゴールに向かう貪欲さには、数ではついていけず、北斗は、見事なゴールを決めてしまった。

鳥栖戦では開幕の緊張からか、ほとんど仕事できなかったが、今日は存分に結果も出したしいい時間帯に仕事もした。

今日は、彼の、このような衝撃的なデビューを観戦できただけでも寒空に博多の森へ足を運んだカイがあった。
北斗は、技術をさらに磨いていけば、重要な場面(決定的シーン)に、必ずソコにいる選手になるだろう。


■ホーム開幕戦セレモニー
ゲーム前には、社長の挨拶を始め、セレモニーがあった。
新人選手たちも決意を込めて挨拶していた。

■お疲れ様〜篠田
ゲーム前に、篠田コーチの引退セレモニーがあった。篠田は10年間アビスパに在籍した生え抜きでもある。花束贈呈時には、近くの女性ファンで涙ぐんで見送る方がいた。
実は、今日は、彼の背番号6(現在は松下)をコートの下に着て行った。

<追記>
紙面の半分に、ゴール後に歓喜する北斗の写真を掲載した西スポ森記者のコラム
J's GOALに掲載された中倉さんのコラム