吉田氏再出発

[J2第32節、札幌ー福岡]:札幌厚別
アビスパは、札幌に分が悪い。
第2レグはホームでのゲームであったがなすすべもなく、0−3で粉砕した。
あのような”完全敗北”はめったに見れるものではない。今でも昨日のように元気な札幌に打ちのめされたのを覚えているが、自分もその後しばらくは食欲がなくなったほどだった。
あの頃からするとアビスパの状況は随分と良化している。
現在は、怪我の松下以外は主力も復調し、第3レグは徳島戦に敗れた1敗のみで、そろそろ昇格争いからも一歩抜け出そうとしている。

さて、第3レグの札幌は、4勝1分4敗と昇格争いをするには厳しい戦跡である。現在2連敗中で、しかも代替試合もあり中3日の厳しいコンディションである。
怪我人も多い。中でも西澤の左膝前十字靭帯損傷による離脱は痛い。

■出直し吉田氏
このゲームは主審が吉田寿光氏であった。
こちらにも注目したが、終始落ち着いた判定ぶりで、(2,3箇所神経質なところはあったが)流すところは流し、カードの出しっぷりも適切で(各2枚の計4枚)彼にとっても立ち直りの機会となるべきリズムある良いゲームとなったと思う。
お疲れ、吉田さん。
■好調グラウシオ
水を含む滑りやすいピッチであったが、最初からアビスパが主導権を握り安定したポゼッションを見せていた。
札幌も懸命に守っていたが、アビスパは3試合連続のグラウシオ(前半44分)の後の、前半ロスタイムの千代反田(2試合連続)のヘディングゴールが大きかった。
3試合連続のゴールを奪った好調グラウシオは後半にも追加点を奪った。
またグラウシオと並びこの日もキレていたのが古賀誠史
彼の現在の左からの絶妙クロスはJ2レベルを越えていると思う。
■休養十分
残暑も過ぎ、横浜戦の後2日間の休養をとったアビスパ
朝晩しのぎやすくなり、この夏の疲労を取り去るには十分であったろう。
このゲームのアビスパの選手たちは連携も良く、一人ひとりが実に好調で、その極め細やかな組織性で、札幌の選手たちがマークの受け渡しを不可能にするほど、攻撃時の激しいポジションチェンジと、攻めから守りに入ったときの切り替えも素早く、札幌の選手たちは中々ついていけなかった。
中盤の猛プレス、ふたり以上での挟み込み、互いのマークの受け渡しは見事で、このゲームだけは選手たちを手放しで称えたいと思う。
シュート数は、カウター攻撃時の空砲も含め11本と札幌が上回ったがいずれも精度を欠くもので、決定的なシーンではアビスパの方が圧倒していた。
内容からいえば得点は5−1位に大きな差があった。
札幌は、3位山形に勝ち点差4で、まだまだ諦める場合ではないが、チーム状態からいえば昇格には少し厳しくなってきたように思う。

    札幌 福岡 シュート数
 前半 0 − 2 (6−5)
 後半 1 − 1 (5−3)
    1 − 3