その1.

■05年のJ1とJ2のレベル差
前季J2優勝を決めた京都パープルサンガが、あの戦力のままで05年J1リーグを戦ったとしたら、どの位の位置にあるのだろうか。この点は05年のJ1やJ2のレベルを考えるためにも興味深い命題だと思う。
まずは05年シーズンのJ1とJ2のレベル差について考えてみたい。
入れ替え戦で、ヴァンフォーレ甲府が何故、柏レイソルに圧勝できたのかの鍵もここにあるような気がしている。

04年(一昨年)シーズン終了時には入れ替え戦はあったが、J1は降格チーム無しであった。
新たに川崎、大宮の2チームが加入し、リーグはJ1全体のチーム数を増やした。 
またその時点で、J1で成績不振で降格に値するチームがそのまま残ることになった。 

当時は、現在の06年開幕前のように、リーグ全体の選手たちの大きな異動(J1⇔J2、J1⇔J1)や、指揮官交代、つまりチーム内外の新陳代謝がそれほど大規模ではありませんでした。
上位のチームの戦力補強などはありましたが、チームのシーズンの成績を分析し、反省や対策する機会が今季ほどなかったような気がしています。

実はこれらのことが、J1のチーム総体をどちらかといえばある種の澱みを作りチームの”衰弱状態”を作ったのではないのか、と思っています。 

全般的に見てだが、降格なしであったがゆえにチームが自ら活性化する機会を見失ったのではないかと思っています。 

どこかで見かけたのだが。05年シーズンにJ1よりの降格チームがなかったから、05シーズン「J2全体のレベルはそれほど高くない」という論調は全くの偽りである。
それはJ2を余り見ない見下したJ1側からの一面的な見方でしかない。
05年シーズン、J2から昇格した川崎や大宮の安定した戦いぶりや成績を見れば現在のJ2の戦力やチームレベルがJ1に比べて大きな越えられない壁があるわけではない。
むしろ、戦術的な熟成やチームとしての一体となった戦い方はJ2の上位チームの方がJ1の中位以下よりは上であろう。
残念ながら昇格は逃したが、仙台や札幌などはシーズン中に調子の波はあったにしても甲府と同様、十分にJ1に復帰できるだけの戦いをしていたと自分は見ている。

05年シーズン、前半圧倒的に独走していた鹿島は後半になってヨレヨレになり、優勝チームも最終戦まで予想がつかない大混戦。
シーズン中盤の東京ヴェルディの大敗続き、入れ替え戦での柏レイソルの完敗ぶり。 

いずれも05年シーズンのJ1に、目に見えぬ形で発生した澱みが原因にあるのではないか、と思う。

もちろん、名匠と呼ばれる指揮官や、しっかりした戦術を持った監督のもとではそれほど大きな新陳代謝は優先しないかも知れません。 
しかし選手たちの能力や持ってる個の力を全て引き出せる指揮官がリーグに揃わない限り、移籍という名のチーム活性化やチーム内競争は今後も必要ということがいえる。
Jリーグの活況のためには、2チーム以上の昇格・降格はもちろんのこと、リーグ全体として選手たちのある程度の規模の新陳代謝は必要必須なことではないのかと思う。

入れ替え戦がその象徴でもあるが、05年シーズンに限っていえば、J1とJ2の戦力レベルは実は混沌としていたと見れると思う。

福岡のことはともかく(笑)05年シーズンの京都ならJ1で中位以上程度の成績は残せたのかも知れません。

果たして今季の成績がどうなるかについては、これから少しづつ考えていきたいとは思っていますが。
J1昇格した3チームは戦術的な理解度やチームとしての戦術的な熟成が進んでいるので他チームに比較して大きく引き離されることはないと思ってはいますが、前シーズンの戦力分析に伴う選手補強や入れ替え、また戦い方の見直しなどキャンプの入り方も含め各チームがどのような準備をしてくるかにかかっていると思っています。
いずれにしてもチーム成績は全チームの相対比較の中で結果が出てくることに変わりはありません。