「クラブ改革は可能か」その5.

■健全で開かれたクラブとは
Jリーグはまだ歴史が浅い。地域への溶け込みもまだまだである。
個々のクラブチームでその置かれた条件や環境は違うが、大切なのは長期的なビジョンに沿ったチーム作りと、安定した経営であろう。
また顧客でもあるサポーターを巻き込んだ(草の根の意識を持った)サポーターニーズに敏感なクラブ運営だと思う。
特に、クラブの成り立ちが福岡市や地元企業を中心にした第三セクターであり、取締役たちが2,3年で出向先へ戻るシステムで財政基盤が脆弱なままのアビスパ福岡にあっては、その何もかもか”未成熟”なままであることを覚悟してクラブやチームを見ていかなければならないように思う。
サポーターもゲームの応援だけにとどまらず(目の前のゲームに単純に一喜一憂するだけでなく)サポーターはどうあるべきかを考える時期にきているように思う。
同じやる方をする必要もないが、前掲のコンサドーレの斬新的なクラブ運営手法は参考になる。
■断崖絶壁
前年の株主総会で32億円余りの大幅減資を行った。市民や企業の協力によってこれまでのツケ(累積赤字)を清算したアビスパ福岡は、資本金9千万円で再スタートすることとなった。これによって他クラブのように単年度での大幅赤字や債務超過は絶対に許せないようになった。
大株主であるコカコーラも市も九電も、今後の増資(資本投下による財政支援)は一切行わない取り決めをし、これまでのような大きな支援は期待できなくなった。
これは債務超過、即クラブ解体(解散)=死を意味する。
J2時代の4年間、それまでのツギハギだらけのチーム作りを若い選手を育てながら勝つという「育成型」のチームに体質改善しつつあった。
そしてようやく若い選手たちの芽は育ちチームは5年ぶりにJ1へと昇格した。
06年シーズン、その流れに急ブレーキがかかった。前任の長谷川チーム統括の放漫なチーム運営によって往時のツギハギだらけのビジョンなきチーム作りに後戻りしてしまった。
そして選手たちは最後の最後まで頑張れどもチームは目標の残留を果たせなかった。
私は、このツケを取り戻すにはおそらく2,3年はかかると思う。
■クラブは中長期ビジョンと今季の強化方針を明確にせよ
今季新たにチーム統括グループ長に小林氏を迎え、新たなチーム体制を作ろうとしている。
チーム強化の為の予算は大幅に削られ、再び若い選手たちを育て活かしながら勝ち点を重ねていくという「育成型」を再び目指すこととなった。
(この項つづく、)