その2

その人のことは

友人の恋人として ずっと遠くで見ていた

長い期間 私の胸の 異物だった

ひとりの夜 やりきれなくも せつない涙を流していた

そして 17歳の4月

あたたかい 雨の日 

レインコートと ブーツの日

世界は 輝いていた

目の前に現れた彼女は 眩しかった

彼女のために うたをうたった

互いを 励ましあい なぐさめあった

川をあるき

山を歩いた

星をみて 物語を語った


そして19歳の4月

アート・ガーファンクルの 透明なうたごえは

木々を揺らし 風を起こした

「四月になれば 彼女は」


わたしは 旅立った

もう、この「恋」の、続きはありません(笑)
今、彼女がどうなってるかだけちょっとオマケを(笑)
その後彼女は、バリバリの共産党員と結婚し二人の子供を育てながら、政治的に人生を生きる道を選んだ。
旅立った後のボクは、外堀通りで機動隊の催涙ガスを浴びながら、雨に打たれ寒空に声を枯らしながら、青春を走り抜けた。
そばには、ヘルメットとゲバ棒があった、だけだけど。