”傷だらけのヒーロー伝説”

orion10142004-07-17

阪神タイガースは低迷長く、甲子園球場は満員になれど選手達は負け続けることになれていた。どんなに監督やコーチの首をすげ替えても同じだった。
少なくとも星野仙一氏が名古屋からやって来るまでは。

02年阪神タイガースは、4位の成績でペナントレースを終えた。
明けて2003年のスプリングキャンプ前、方向性が見付からず暗中模索していたコーチ陣を集めて星野監督が提案した。
「皆で伏見工業の山口さんの話でも聞いたらどや?」
星野監督は既に山口良治氏の「人心掌握術に関する講演」が評判になっていることを知っていたのである。
早速、球団広報が交渉して西宮の「リゾ鳴尾浜」で星野監督以下全コーチ・主力選手が山口氏のレクチャーを受けることになった。
テーマは「選手の実力以上の力を引き出す術」
此処で山口氏は阪神のコーチや選手達に暗示を掛けた。「勝ちたいと思い続けること、そして優勝する瞬間のイメージを持ち続けること。」
勿論それは、人一倍練習をし、努力して勝ち獲るものである事を順々と説いていったものである。
「自分の全知、全能を傾注して最後に嬉し泣きをしなさい言う事や!」そう解釈したタイガースの面々。
その日以来、阪神タイガースの合言葉は「勝ちたいんや」に成り、最も感銘を受けた矢野捕手は自分のテーマソングを「スクールウォーズ」の主題歌「HERO」に変えたという。
そして2003年度阪神タイガースは見事に18年振りの優勝を果たした。大きな奇蹟は起こったのである。
(映画資料より)

映画「スクールウォーズHERO」は、9月11日地元京都でロードショーが開始され、同18日より全国のシネコンや劇場で上映される。
「俺は・・お前達を・・今から・・殴る」

1974年、校内暴力が吹き荒れる高校に、一人の教師が赴任した。7年後、彼が率いるラグビー部はどん底から這い上がり、日本一の座を勝ち取る。その栄光の陰には、教師と生徒たちの愛と涙の戦いの日々があった。・・・体当たりの指導で荒廃した学園を立て直した熱血教師と、彼の信頼に応えた生徒たちの感動の実話が、今スクリーンに甦る。「スクールウォーズHERO」は、学校崩壊や家庭崩壊が叫ばれる今こそ、日本中の人々に見てほしい、熱い感動作だ。(映画資料より)

山口総監督については、「リーダー論Ⅳ」にて少し紹介していますが、”子供たちの事件”が大きな社会問題として叫ばれている昨今。それは実は「親」の問題なのだ、と山口先生は強くおっしゃっています。
親としてあるいは大人として子供たちとどう関わっていくべきなのか、この映画はヒントを与えているのかも知れません。

CAST:照英、和久井映見内田朝陽SAYAKA間寛平里見浩太郎
原作:山口良治、監督:関本郁夫、主題歌「ヒーロー」大黒摩季、協力:日本ラグビーフットボール協会、配給:松竹、http://www.schoolwars.jp

星野仙一氏も選手の胸ぐらを掴み、手を上げ、蹴り上げ、身近なコーチにでさえ怒鳴り上げていた。そうやって一人ひとりの持っている能力を十分に引き出し、持ってる己の限界を超えさせ、結果を出すことで自信を積み重ねた。常に緊張感を作りながらチームをまとめていった。
トップに立つあるいは優勝を手にするチームには、失敗の経験に裏打ちされた懐の深さと常に強烈なリーダーシップがある。
伏見工業の山口先生のように。
98〜02年の、彼の人のように。
*写真は、映画「スクールウォーズHERO」の資料とパンフレット