永遠なる未完成

実は、このゲームには期待していました。緊張と不慣れな大舞台、第一戦は仕方ないにしても、それらをしっかり反省して立て直し、U−23日本代表らしい戦術を練ってくるだろうと思っていました。選手たちも気分一新で集中力を取り戻し戦ってくれるだろう、と思っていました。
個人的にはそういう僅かな期待で早朝から仕事であっても、試合前に2時間程度の仮眠で横になり自然とすんなりの目覚めでした。
このチームについては第一戦のあと書きましたので余り繰り返したくありませんが。

おそらく山本さんは、第一戦のパラグアイ代表に敗北した後、宿舎でその反省やイタリア戦に向けての対策やチームへの戦術的徹底をしたのだろうなと、私は思っています。あの試合、日本の選手だけピッチが滑るということも含めて。
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・たとえ大きな大会の初戦であったとしても何故、守備陣はあのようなミスに至ってしまったのか?パラグアイ戦に向けての戦術的なミスや指揮官としての指示徹底の不足はどうだったのか?
・守備陣が乱れ連続して得点された時の対処方法は間違ってなかったか?選手への指示はどうだったのか?
・選手たちへの身体的ケアだけでなく、精神的なケアも含めて必要なものをしっかり取り組めるか?
ま、そういったことが様々な角度から論議され、前試合の反省・次試合の対策が、山本さんを中心に短期間のうちに成されたのだろうな、と思っています。(したに違いない。いや、そうに違いない・笑)
これは皮肉ですが、いつも、いつでも、気持ちを切り替えることがおじょうずな山本さんは、真剣に反省するとか、順序だてて振り返るとか、論理的に分析するとかはしないタイプだと思います。そんなことするなら、こうはなってないのだから。
しかし、この試合のイタリア代表はそれ以上に日本代表を研究し、山本監督の戦い方を研究してきたように思えました。

さて、このチーム、イタリア代表との戦いに敗れて、「36年ぶりのメダル」はおろかこの大会の決勝トーナメント進出そのものが不可能になりました。

私は前試合の後にも書きましたが、このチームに「自分たちのサッカー」というものはなく、それが何なのかおそらく選手たちにも最後までわからず仕舞いで、山本さんが言っていた「自分たちのサッカー」というものはすべてにおいて未完成のままに終わったのだろうな、と思っています。(いや本人にさえその回答を見つけ出すことは無理だったのか。)
極論すれば、永遠に時間や費用を費やしても実験好きのこの指揮官のもとでは何もかもが未完成のままに終わったのだろうな、と思っています。(化学者じゃあるまいし。あと確信と自信がない人はとっかえひっかえの実験好きだけど。)

今日の試合を見ながら感じたことは

1.日本代表の個々の選手の能力や技術は決して悲観するまでのことはなく、イタリア代表と比較してもそれほど大きな格差があるものではない、ということ。経験の差はあっても。全般的に選手はよくやっていたと思います。

2.つまりは今回のチームの監督は、アジアとはそこそこ戦えても、世界と戦うだけの指揮官でなかったということ。己の野心を選手に伝える術を身に着けていなかったことも含め。
決して歯が立たなかったわけではなく、2試合で5得点もしている選手の能力を踏まえて考えると、しっかりした戦術とその指示徹底、選手たちを奮い立たせる言葉とチームとしての熟成さえあればそこそこまでは行くだろうと思えること。

3.これは上のカテゴリーの現状の日本代表にも当てはまることですが、自陣のボールに対して「走ってからもらう」ことや「走りながらもらう」という認識がどこかに忘れ去られ、指揮官にもその認識が欠けている。併せてゲームの中では全体としてはボールが渡ってからどこへ出すかの確認をし勝ちであること。よって小野に折角ボールが渡ってもスペースがない場面が多かった。
どんなチームと戦っても、特に強豪チームと戦う場合においては足元パスばかりではゲームメイクは非常に困難になり勝ちでやがてはセットプレー頼みになってしまうこと。

4.同様にこのチームには、シドニーの時にはあった“首ふり”や、“2列目からの攻撃”や、“サイドと前線との組み立て”など(守備面だけでなく)攻撃面においても約束事や指示徹底が欠落しており攻撃の組み立てがほとんど選手任せになっていること。(このチームの特徴である前線でのボールの収まり所がない、という点については以前に書きました)
それらも含めて今回は、小野任せ?だったこと。

5.すべては駒次第。駒を変えたら化学反応で(これこそ実験)なんとかなるだろうという芸風を指揮官が身に着けていること。チームとして大切な根幹となるべき「自分たちのサッカー」はどこかへ忘れ去ってしまって。

いずれにしても、2年間の膨大な時間と費用(体制作り、合宿、親善試合など)をかけてやってきた成果は、単なる「3大会連続の五輪への出場」という結果だけに終わってしまいました。
選手たちには可哀相ですが、このまま3連敗の可能性の芽も出てきました。
結果が出たので、今日にでもOA枠の小野とソガはチームへ返してあげてください。
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さて、協会幹部やその役割(仕事)をすべき連中は、現代表チームへのフォローと同じく、今回も、反省も評価も今後に生かす術もすべてをも放置したまま無駄に時を過ごそうというのでしょうか。彼らは、一体、今回の結果に対する責任さえも放棄してしまうというのでしょうか。
(五輪出場が目的ならこれは問われないが)
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山本さんは確かに有能なコーチではあると思っていますが、
この世代においても、今必要なのは「力量の差を実感する」ことでなく、日本人選手の特徴を活かせた上で世界に通用する、世界と戦えるチーム戦略とチーム戦術だと思います。
協会がそう思ってないなら、そのような【総括】を早めにするべきである。



それと、この日のイタリア戦については、
私の駄文よりも、こちらの観戦評が、ずっと明快に分析なさっており、読みやすいかと思います。