「歌から彼の人生が聴こえてくる」
「私は体の内側に音楽を抱えて生まれた。そうとしか説明のしようがない。」(レイ・チャールズ)
今日から、映画「Ray」が、ロードショー公開となった。予想以上に、”染みる”映画で、「I Can't Stop Loving You」が流れた瞬間、胸が締め付けられ落涙。
全編レイ・チャールズの音楽映画といっても良い位に館内は終始彼の歌声に包まれた。
「トム・クルーズから電話があったんだ。”ジェイミー・フォックス”やってくれたな。まいったよ。映画を見て、僕も僕の家族も大泣きだったって、言われたんだ」と、ジェイミー・フォックスは語った。「この作品には、なにかスピリチュアルなものが詰まっている。一般の自伝映画とは違うんだ。最初は地味にスタートした作品だったのに、評価されるようになったんだ。黒人の伝記物語は資金作りの面で、製作されるまでが大変なんだよ。こんなに美しい作品に出来上がったあとだって、どの映画スタジオも欲しがらなかった。たまたまユニバーサル映画社の社長のロン・メイヤーが、レイ・チャールズのファンだったから、こうやって日の目を浴びるようになったけど。」(あずまゆかさん[映画ライター])
この映画は、企画から映画の実現まで15年を要したという。
以下、レイ・チャールズの足跡。
1930年、レイ・チャールズ、ジョージア州に生まれる。 1937年、弟が目の前で溺れ死ぬ。死去後、視力を失いはじめ盲目となる。 1959年、「What'd I say」が全米1位となる。 1960年、「Georgia On My Mind」が全米1位となる。 1961年、ジョージア州オーガスタで人種隔離に抗議し公演拒否。 その後1979年まで、生まれ故郷のジョージア州への出入り禁止 1963年、「I Can't Stop Loving You」でグラミー賞受賞 1965年、麻薬不法所持で逮捕、厚生施設へ。 1985年、飢餓救済チャリティ「We Are The World」に参加 1987年、聴覚障害者のためのロビンソン基金立ち上げ 1989年、「Elly My Love」で日本でもチャート1位。 2004年、6月10日、肝臓疾患のため死去 6月18日、葬儀に1500人が参加 B.B.キング、スティービー・ワンダーなどが追悼演奏
貧困、人種差別、盲目、弟の死、彼にふりかかるこれ以上ない苦悩を、すべて音楽にぶつける。
レイ・チャールズの足跡、彼の音楽が生まれたの背景などを忠実に演じていたジェイミー・フォックスが見事な演技をしていた。彼はピアノの演奏もプロ級で、映画でもレイ・チャールズそのままに弾いていた。今年度のアカデミー賞候補にも上がっている。