「動じなくなった」

埼玉スタジアムで行われた日本代表対シリア代表は、隆行、宮本、オガサの得点で、3−0で快勝した。
シーズン開始の合宿から続く、身体的疲労による”動きの重さ”以外に感じたのは、日本代表視点だけでゲーム運びを見れば、今日のゲームの方がこれまでの日本代表らしかった。
躍動感のあるコンパクトなゲーム運びができたのは、先日のカザフスタン戦のゲームの方だった。相手が「ランキング149位」のチームであったことを差し引いたとしても。
■松田と宮本
日本代表は、ほぼ同じ先発メンバー。ただし大きく違っていたのはDFセンター。松田→宮本。

松田の時の方が前でプレーできたのは、カザフスタン代表の攻めが緩かったからなのか、それとも、松田が自ら意識してDFラインを上げようとしたのか。
私は両方だと思った。こうやって続けて同じメンバーでゲームをすると、その違いが良くわかる。
センター松田の時の方が、コンパクトで味方選手の間が狭く、中盤でのワンタッチプレーが多く見られた。しかも相手から攻め込まれた時に後ろがバタバタしない。
シリアがカウンター狙いであったこともあるが、今日は、後半少しバタバタする時間があった。

ジーコから見れば忠実で堅実なプレーをしたがる宮本の方がいいのだろうし、守備面ではジーコはほとんど選手任せで、放置しっ放しなので、チーム内での宮本の統率力を取るのだろう。
■オガサ奮闘す!
カザフスタン代表と違い、5−3−2のシリア代表の方が守備の意識が高く、あれ程酷い緩さではなかった。
長期に亘る合宿で日本代表の選手たちが、身体的には追い込まれた状況であったのだろう。北朝鮮戦に向けてピークに持っていくべき、今が底なのだろう。やや重たい感じがした。

『今日は前の試合よりもコンディション的に辛かった。』(試合後の福西の談話)

その中でも、オガサは激しく動き回り、ボールを奪いに行き、ボールを要求し、数多くのチャンスを作り、攻撃のリズムを作ろうとしていた。
まさにオガサ奮闘す!といったところか。ま、いつものように途中で息抜きもしていたが。あれ程動けば、息抜きしてなきゃやってられないのもあるが。

カザフスタン戦で2アシスト、この試合でも1ゴール。

結果も出している。代表チームの司令塔としては立派に合格点を上げてしかるべきだろう。しかし、それでもジーコは、4バックにしない限りオガサをサブに回すだろう。ヒデが復帰すれば、オガサがベンチを温めるようになるのは間違いない。それがジーコなのだから。
さて、北朝鮮戦。俊輔の一発の決定力はオガサにないものだが、果たしてどちらがチーム全体を躍動させるのだろうか。
しかし、この2つの親善試合で、俊輔とヒデ、海外で活躍する実績のある2人との距離を、オガサは大きく縮めたと私は思う。

『今の選手たちはどんな状況であっても臨機応変にやっていける。チームとしてもまとまりができている。試合を重ねることで動じなくなった。今も少しずつ成長していると思う。』(試合後の川口の談話)

バーレーン戦となると予断を許さないが、一週間後と迫った2月9日の北朝鮮戦は、安定感のある現在の「国内組中心で」良いと思うし、力の差を大きく見せ付けるに違いない。