落ち着きとシブとさ

【J2第7節、アビスパ福岡ーFC横浜】
1−0(0−0、1−0)
アビスパが、こんなにも”シブとい”勝負強いチームになったことを、この日は改めて感じた。
後半28分以降、10人になっての全く慌てないこの日の落ち着いた試合ぶり。引いた横浜相手に、スキを見せない中盤の戦いとゲーム運び。
それもこれも、この日もキャプテンマークを付けたホベルトと、松下の両ボランチの安定によるものなのだろうが。

<写真:試合開始。いずれの選手のプレーにも落ち着き>
■復帰組
この日は、ウイング山形恭平センターバック千代反田が先発復帰。怪我明けで太腿にまだ大きなテープを巻いてる恭平は、FW有光やグラウシオとタイミングを推し測っている場面多く、”試合感”がまだまだだったが、あと2試合もすればそのうちゲーム感を取り戻すことだろう。

<写真:ようやく先発復帰の背番号10山形恭平
怪我から復調した千代反田は、全盛時の70%程度か。この試合での無失点は、FC横浜のリスク無き放り込みサッカーと岡山の安定感によるものだった。
このゲームでイエロー2枚で退場した岡山が次節欠場するので、千代反田にとっては次の札幌戦(A)が完全復帰の試金石となろう。
■ドロー狙いのFC横浜
先日(1ヶ月前)鳥栖スタジアムのFC横浜は、前線が城とシルビオだったが、それ以降のゲームから前線で城と組むのはFW久保田。
守備陣の有光、グラウシオへのマーク厳しく、アビスパ相手にノーリスクの戦い方をする横浜は、城がキープする場面を数多く作れず、久保田の個人技頼みであった。
おまけに後半12分に失点してからの横浜は、前線に長く放り込むだけで、チャンスらしいチャンスを作れずにいた。
更に、アビスパの中盤の寄せ厳しく、ほとんどの場面でセカンドボールを支配していたのがホベルト、松下らアビスパのJ2随一の中盤であった。
この日の戦い方を見て、横浜の選択は、0−0のドローしかなかったように思う。
■組織的な守り
アビスパは、松下の美しいクロスをFWグラウシオが合わせ先制したが、先制さえすれば、今日のアビスパの戦いぶりからして勝ち点3は間違いないところだった。
見てる方とすれば派手さのない面白みに欠けるゲームだったが、内容的にはギッシリ詰まった良いゲームだった。
私は、後半からのアビスパのチーム戦術が非常に興味深かった。
[後半0分]
後半開始から、FWに太田を投入。ゲーム感の戻らない山形を下げたのは納得できるが、山形の後にはウイングの位置に松下を置いた。
太田、有光の2トップに、トップ下にグラウシオ、左に松下、右に中村北斗、1ボランチホベルトのダイヤモンド型。松下とグラウシオは互いにポジションチェンジもやっていた。
[後半27分]
グラウシオが得点すると、動きに精彩の見られなかった有光を田中に代えた。田中はFWの位置ではなく左ウイングに張った。
太田の1トップにアビスパは中盤を厚くした4−5−1をとった。グラウシオをトップ下に置き、中盤は5角形の2ボランチ、2ウイング。
[後半28分]
2枚目のカードで岡山退場。
残念ながらこの主審(前田拓哉氏)はカードとホイッスルが好きな審判だった。岡田氏や上川氏ほど”権威的”ではないが。
岡山退場後のアビスパは、4バックは崩さずに北斗を右SBに下げた。太田の1トップのままの4−4−1。この時の中盤は後ろに松下とホベルト、前にグラウシオと田中のボックス型。
[後半31分]
リードされた横浜が交代カードを2枚切り、前線を厚くし4−4−2から3−4−3へとカタチ的には攻撃的布陣をとった。
アビスパは、数分後にグラウシオをベンチに下げ、DF宮本を右SBに投入。
アレックス、千代反田、川島、宮本のこの4人のDFを敷き、アビスパは守備陣にも更に落ち着きを取り戻した。
この時点では4−4−1、太田の1トップに中盤は、ホベルト、松下、田中、北斗のボックス形。
これら、多くの選択肢があるのも、ホベルトと松下がこのチームにしっかりフィットしてることによるものと思う。特に、ホベルト無しでは今のアビスパの好調さは考えられない。