いつまで続く「九州ダービー」

アビスパは明らかに下り坂。
残念ながらゲームはようやくのドロー。
しかし突っ込みどころ満載のダービーの日でした。
以下、雑感のみ。

(写真:9/4上空に強い風吹く鳥栖スタジアム
鳥栖スタジアムの風景

1.台風14号の影響
台風14号は試合開始時点では九州の南方、沖縄の東方海上。「大型でしかも非常に強い」台風とのことで鳥栖スタも風が吹き荒れていた。
自分は用事もありいつもより遅くに到着したせいか駐車場は満車状態のシャットアウト。パスカード見せて警備のオヤジになんとか入れてもらえた。
この日はダービーということもあり1万1千以上の観客が集まりスタンドの外から大盛り上がりを感じた。特にオブリを中心としたアビスパの応援には気合が入っていた。
しかし、お昼過ぎは強い雨模様だったので主に子供さん連れの3,4千人?の観客は尻込みしたと思う。
この強い風は上空のみで、蹴り上げたボールが影響される程ではなかった。前半やや引き気味だった風下のアビスパだったが。前方へボールがつながらなかったのは他の理由だったらしい。

2.空気を読めない”選挙カー
どこの候補とは書かないが、”この集客”を見込んだデモカーが、外からスタンドに向かって叫んでいた。異質な声。少しも気持ちがこもらない拡声器の音が強風に流れる。
街宣車の担当の知恵だと思うが、ズレた神経の政治屋どもには完璧に「逆効果」であることさえ気づかないのだろう。
自分は内心選挙好きなので気持ちはわかるが、彼らは選挙期間中には、歩道を歩く犬にでも丁寧に頭を下げるのだ。
いつでも政治屋は”政局”の風には血まなこになるが、世間の空気は読めないでいる。

3.盛り上がるスタンド
このスタジアムはゴル裏の声がとても反響しやすい。サポたちの声援の声は博多の森以上に全体を覆っていた。騒音機で測れば相当なデシベルだったと思う。ゲーム中は終始大きな声援が選手達を後押ししていた。
アビスパの大応援と声援で鳥栖の選手たちも普段より少しやりにくかったと思うが。代わりにアビスパの選手達にはホーム並みのサポ数で準ホームのような空気が漂っていたに違いない。
博多の森のダービーと、鳥栖スタジアムのダービーとでは雰囲気も全然違う。
自分は好き嫌いで言えば、鳥栖スタジアムの雰囲気の方がスタジアムの作り的にもサッカー場らしくて好きだ。

4.食べ物
大好きなスタジアムではあるが、鳥栖スタジアム博多の森のように屋台もないし食べ物はアイテム的に非常に乏しい。シュウマイと鳥栖駅のうどんはうまいが。どの売店も昭和30年代の映画館のようでワンパターン。
自分はこのスタジアムに来る時はいつも食べ物持参できている。この日はお惣菜屋さんで買ってきた。
井川さんもこのあたりのことは考えていると思うが、スタジアムに金を落とすことにかけては名物の多いビッグアイ(大分)はかなり参考になると思う。
もちろん、艱難辛苦(かんなんしんく)を舐めてきた経営者でもある井川さんは費用対効果を常に考え、大分のように財務が追いつかない(債務超過になる)ようなことは絶対にしないだろう。

5.岡山さんの”シザーズ
後半からFWで使われることが多くなった岡山の”シザーズ”には思わずトキめいてしまった(笑)彼は元々センターバックの選手、高身長ゆえに頭での競り合いのために前線で使われているのだが、あの柔らかな足技は自分的にはこの日の唯一の見ものであった。
次の横浜戦ではカズとのシザーズ対決!が見られるに違いない。


(写真:9月4日九州ダービー
さてゲームである。
アビスパは下り坂
何もかもを審判のせいにする風潮もどうかと思うが。それにしてもこの日の今村主審は少しホイッスル吹き過ぎであったように思う。
しかも判定に迷いがあるのか一貫性もなかったように思う。

それでなくとも、ここ数試合攻守の切り替えが遅くなっているアビスパ。余計に今村さんのブツブツとプレーを切る判定にはストレスが溜まるというものだ。
ゲーム開始からホームの鳥栖の方がモチベーションも高く、より攻撃性に優れ、シュート数も6本対3本と鳥栖がリードしていた。
連戦による疲れと、暑さが重なり疲れもあるものと思うが、アビスパは全体に動きが鈍い。特に前半は、徳島戦、草津戦のような動けないアビスパで、チームとしての調子は下り坂であった。
何よりキープレーヤーとなるべきMFホベルトの調子が今ひとつで、本来のキレが見られず、本人は足の状態が思わしくないのかも知れないと思った。

前半40分、宮原のFKから村主のヘディングでのゴールはゲームの流れからいっても必然といって良い先制点であった。
前線の新居、鈴木、サイドの高地と、彼らのキレのある動きにアビスパ守備陣は必死の防戦であった。しかも、鳥栖のFWは2人で20得点も上げているのだ。
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(写真:ゴル裏は互いにヒートしていた。)
■北斗の攻撃性を生かせ
後半5分、鳥栖のDF陣が完璧に崩された瞬間があった。
北斗のクロスはアビスパの大きな武器である。2列目から飛び込んだグラウシオのヘッドに、北斗のアシストが生まれた。1−1の同点。
後半はアビスパがリズムを取り戻し主導権を握ったが、攻守の切り替えの遅さは相変わらずで、決定的な場面を作れなかった。

北斗について少し。
自分は、中村北斗の1対1のディフェンスの粘り強さは買うが、実は彼には攻撃性に優れた長所を持つと見ている。
開幕2戦目の水戸戦だったと思うが、右SBには川島が入り、北斗はMFとして右サイドを走り続けた。中へ切れ込み、2列目からも飛び込んでいた。
あの時の彼が上げた衝撃的な2得点を、自分は忘れることができない。
松田さんがどう見ているか知らないが、グラウシオ田中佑昌と北斗を絡める機会をもう少し作るべきだと自分は思う。
DFは、センターの千代反田と長野で十分にハネかえせる見通しがたった。
右SBには故障が癒えたら宮本か、それとも川島でかなり固いディフェンスができ上がる。
現在のアビスパは、アレックス、古賀誠史の左サイドにしか怖さがない。
右側には、北斗を上に上げるべき時期に来ていると自分は強く思う。これなら最初からダイヤモンド型でイケるはずだ。
これにFW林が復調すれば攻撃力は尚も増す。

組織的な守備は調子下降でも生きている。失点はしにくい。しかしアビスパは、若干の采配変更に、選手の復調と戦う気持ちを早急に取り戻さなければならない。
そうでなければ、昨年、一昨年のような後半の怒涛の連勝は生まれないだろう。