緒戦飛び出す

[J2第34節、湘南ー福岡]:平塚競技場
甲府と違って湘南には以前から相性が良い。
03年が4戦4勝、04年も4戦4勝。今季は、2勝1分で、しかもまだ無失点。
その湘南相手のアウェーのゲームは、J1に向けての重要な一戦である。
アビスパの心臓・ホベルト不在

第4クールの緒戦のアビスパは、中盤の底でタクトを振るうキャプテン・ホベルトを累積(2試合出場停止)で欠く。相棒の松下もまだ怪我明けである。
アビスパは事実上ホベルトのチームであるし、これまでずっと彼を中心にゲームを作ってきた。
ボランチは、これまで途中出場で喜名、一度だけ北斗、他に新人の城後もいるし鳥栖から移籍の村主もいるが、怪我の松下不在の最近は、山形が先発を続けてきた。
この日の組み合わせは、その山形と怪我明けの北斗であった。

湘南も同様にDFのバリシッチと鈴木という中軸を欠く。
アビスパの左サイドがSBアレックスと古賀であり、J2でも抜けてる能力を持つふたりだけに、守備だけでなくサイドからの攻撃面においても湘南の右SB鈴木の欠場は痛いはず。

■北斗の個人能力
この日のアビスパは左側からの攻撃が起点となりゲームを組み立てていたが、少し左に偏重していた嫌いがあると思った。
いつもは、DFラインを順々に押し上げながら、ボランチホベルトを中心にSBと両サイドの調和の取れたパスまわしでアビスパの攻撃のリズムを作っていくのだが、この日はホベルト不在でそれがなかった。

しかしホベルトの代わりに入った北斗は、自身の個人の能力の高さで中央から右CK付近まで顔を出し数多くの攻撃機会を作っていた。
もちろんセカンドボール奪取やボランチ山形との縦/横の連携も悪くなかった。
彼らしい独特のボールキープもあり、ボランチでの重要な緒戦先発に合格点を与えて良いと思う。

ところで、アビスパの2ボランチは、昨年はホベルトと米田。
今季は、京都へ移籍の米田(今季の京都の好調の最大要因はその米田と中払の活躍にある。)に変わって松下。
昨今の怪我の松下の代わりは、順調に育てば城後なのであろうが、緊急対応の山形も不安ながら少しは良くなってきた。ただし彼は中央でのポジショニングに課題がある場面が多いのだが。
自分は、ここは松下の復帰を待ちたいと思う。
ホベルト不在の次戦は、右SBに北斗が戻り、怪我から復帰の松下と山形が組むのだろうか。

ホベルト不在の我慢は、あと1試合。
■リズムの掴めないアビスパが電柱を2本立てる
湘南は攻撃面では高さのある梅田と柿本、技術のある中盤の加藤などが相変わらずいい動きをしていた。
しかしチャンスは中々作れなかった。
この分だとセットプレーでしか得点はないだろうと思っていたが、後半の始まりにその通り湘南が先制点を奪った。
落ち着いた小さなパスまわしでボールは持つものの、アビスパは連携ミスが多く前半の得点チャンスをものにできなかった。

このゲームには「勝ち点3しかない」松田さんは、後半12分に岡山(187cm)、後半22分に太田(196cm)を立て続けに投入して”電柱”を2本立てた。
これほどの高さは、オランダリーグ並み。

アビスパらしい戦い方ではないが、松田さんの今季初めての試みは成功した。1分間の間に2得点取り湘南を一気に逆転。
途中から、中盤の底に北斗を置くダイヤモンド型を取っていたアビスパは、逆転の後スグにFW岡山をボランチの位置に下げ、北斗との2ボランチでこのゲームを凌ぎきった。
■好調の古賀・グラウシオ
この日の2得点はこの二人。ここ5戦6得点のグラウシオは、13得点目で、ランキング3位。
このまま行けば得点王は射程圏、バウリーニョ(京都)には2差なので、京都戦までには抜き去りたい。
ところで、この日の2点目はイブシ銀に輝く古賀の左足からでなく、コントロールの効いた右足だったのが面白かった。