ホベルトの相手

現在の国内リーグのサッカーにおいては、ボランチ(またはディフェンシブハーフ)の存在が特に大きいように思います。
もちろん、最近の海外リーグや代表戦においてもその重要度は増しているのでしょうが。

強いチームには良いボランチ。好チームには必ず名手とも言われるボランチがいる。
名手の代名詞でもあるジュビロの名波しかり。昨季、Jを制したガンバの遠藤しかり。そして楽しみなことに若くて活きの良い選手が多いサンフレッチェへは戸田が移籍した。レッズに返り咲く小野とともに優れたボランチのいるチームからは目が離せない。

アビスパには、ホベルトがいる。そしてアビスパは今季のキャプテンにホベルトを指名した。
■これまでのアビスパ
優勝を争うようなチームは、前線に突破力のある選手や自らの動きでスペースメイクできる選手が必ずいるのだが、J2の場合下位チームが想像以上に守備的に戦う場面が多く、どこも無駄な失点しない戦いをしている。

だから昨年の11月26日に開催の第43節、甲府相手の5−0とかのような高得点を挙げるゲームは極めて珍しい。
アビスパは、ここ数年、組織的な守備戦術を前面に打ち出し失点を限りなく少なくしてきた。そして、入れ替え戦で柏相手に爆発した甲府のバレーでさえそのゲームでは全く仕事をさせることがなかった。

突破力のある選手が少ない場合はなお更であるが、J2に置いてはまずはどのチームも守備的な陣形を整えてくる。
今季のJ1においてアビスパと対戦する相手チームは果たしてどのように戦ってくるのだろうか。
おそらくJ2の戦いとは違った様相になるはずである。
戦力的には明らかに下位と見られるアビスパ相手に、各チームは攻撃的に戦ってくるのは間違いない。
そこでボランチの役割が重要度を増してくる。
ホベルトの相手
アビスパホベルトのチームである。
一昨年、彼が加入した際、ホベルトのチームになればいいと思ったが、十分な時間を費やして昨季そのようにようやくなった。
しかし、一昨年は米田という最良のパートナーがいた。
昨年、京都と勝ち点差で大きく差が広がったのは、前線での得点力もあるが実は京都に米田をもっていかれたことにある。守備陣に問題を抱えていた京都は米田の加入で一本シンが入り、アビスパは米田の代わりが中々に安定しなかった。
シーズン当初は松下が長く務めていたが、彼の長引いた怪我により山形(兄)や北斗、また鳥栖からレンタルで来た村主などを含めとっかえひっかえ使ったのだが、布陣的に見ると終始安定感は見られなかった。
実は今季のアビスパは、得点力以上にホベルトと組む相手こそがチームにとって重要となろう。

アビスパはチームとしては左からの攻撃に特徴があるが、左にこれまでのように守備に難のある左SBアレックスと誠史を組み合わせて使っていくのであれば、J1ではホベルトを1ボランチに置いた中盤ダイヤモンド型は中々敷けないはずで、2ボランチ*1で戦っていくことが予想される。

ボランチの確立は、何より守備的な安定感が第一であるが、攻撃面においても広くサイドへ散らしたり、自陣の攻撃の芽を広げるための展開力は今季のアビスパの生命線となるだろう。
新たに加入した布部、昨年加入の城後、大津から加入した本田らの見極めとともに、もちろん松下、北斗など、キャンプの課題はホベルトの相手探しになるに違いない。

*1:あるいはホベルトを底に置いた3ボランチも面白い。この場合は3トップ気味になるであろうが。