長谷川氏は、今すぐFWを補強せよ!

[J1第3節、ジェフ千葉アビスパ福岡]:フクダ電子アリーナ
■すべての点でジェフを上回った
先手を取ったのはアビスパ。そして自分たちのサッカーを貫いたのもアビスパ
アビスパの選手たちは、この試合も中盤を圧倒的に支配した。
そして、3戦連続ドローは、ようやくのドローではない。勝つべくして、そして勝てなかったドローである。
神は、次の歓びの大きさのために、この日に勝利を贈らなかったのだろうか。残念である。

選手たちは、これまでと同様に懸命に走り、ひたすら真摯にプレーした。
寄せも速かったし、判断も速かった。選手たちの運動量はジェフの選手たちの3倍はあった。
この試合で、ジェフが優れていた点はオシム(の存在)以外に何一つ見当たらなかった。

布部も薮田も、宮崎も、足が攣りまくるほど良く走った。
ゲーム序盤から終盤まで、終始ジェフの選手たちに走るだけのスキもスペースも与えず、そして追い込み、中盤を制圧した。
この日、相手チームの選手たちは試合後にはどうにもやり場のない徒労感に襲われたはずだ。
両チームの戦いぶりを見て、チームとしての「完成度」とか、「成熟度」とか、そんなありふれた言葉を超えた何か、比べようもできない程のチーム規律の違いがそこにあった。

■ドローはどこまで続くのか

アビスパの幹部よ、
「良い試合をしてる」「これで、今季はいける」と、安堵している場合では決してない。
今この現在、ここまで来て。「負けないで済んだ」で慰めるよりも、「なぜ勝ちきれないのか」を問うべきである。

この3月、アビスパは数ある株主の了解を取り付け、4月開催の株主総会において大幅な減資を行い、30億円以上の累積赤字を消し飛ばし、社名も福岡ブルックスからアビスパ福岡へ生まれ変わろうとしている。
J1の舞台へ復帰した今、過去の負債を清算しチームは新たに市民クラブへと出直そうとしている。
育成型のチームは継続しつつも、ここで的確な手を打ち、市民に愛される魅力的で斬新なチームにしていかないといけない。
魅力的で強いチーム作ること。そして現場への強力な後押しは、スタジアムの声援だけでは決して足りない。

ジェフ戦。選手たちは心臓が破れる寸前まで走り、連携を取り合い、互いに叱咤し合ってゲームに取り組んだ。
結果はまだドローでしかないが、しかしこの3試合の彼らの闘いぶりを我々は誇りに思う。
松田さんが育み強めたディシプリンは、他のチームにない強力で有機的な組織体を作ったように思える。
かっての栄光にあぐらをかくチームや、金にものだけを言わせるチームには及びもつかないような新たな次元へ踏み出そうとしているのだ。
■今、打つべき手は何か
アビスパの魂・ホベルトを中心とした中盤は、ディシプリンに優れた組織力でなんとかなる。
DF陣も千代反田や金古の奮闘があるし、控えには長野らもいる。
しかし、前線に、今、誰がいる?
若きエース佑昌が4週間の怪我、前戦欠場した前線の軸・グラウシオも故障を抱えてこの日も途中退場。
これから先を薮田だけで強豪チームと戦うつもりか。
元々、前線に勝利をたぐりよせるだけの個の力が無いことは明らかではないか。昨季終了時点から始まった新たなチーム作りは、まだ宿題・課題を残したままなのだ。

長谷川氏は、ここで、強化部長としてその任を果たすべくすぐさま手を打つべきである。