足りない、あと一歩の強さ

[J1第7節、アビスパ福岡浦和レッズ]:博多の森球技場
選手たちがどんなに立派な守備組織を実践していても、そのことを第三者からどんなに評価されても、所詮勝ち点が奪えなければ、意義あるものにはならぬ。
ジェフ戦の時もそうだったが。

「結果さえ良ければそれで良し」。たまにはそういうゲームをしてみたいものだ。今日の浦和レッズのように。

しかし、浦和レッズ、横浜Fマリノスなどのような強烈な個を持つチームと対戦することで若い選手たちはその度に目を見張るような成長を見せている。
このゲームがリーグ戦初先発となったMF城後寿(19歳)、
坪井を超える速さを見せたFW田中佑昌(20歳)、
三都主に目立った仕事をさせなかったDF中村北斗(20歳)、
強烈なレッズの前線に身体を張った長野聡(23歳)。

最近まで城後も長野もサテライトがその主戦場であったが、リーグ戦本番で1試合ごとに、試合を重ねるごとに彼らは原石から磨かれる。

■ゲームの入り方
松田さんは今季チームのシステムを初めてイジった。そして非常に細やかな準備をしてこのゲームに臨んだ。
怪我人を除くと現有勢力での林、田中佑昌、薮田、久藤などの特徴を生かそうとした4−5−1。そして時には4−2−3−1。
J一番に強いチームと対戦するに当たりグラウシオも、誠史も、アレックスもいないが。いつものように自分たちの戦いをしFW林さえ踏ん張ればどうにか形にはなるだろうと思った。
闘莉王と林の闘い
林が退く後半21分迄は闘莉王は前線に上がれなかった。
実は試合前に密かに期待していたことがある。モチベーション高く臨んだ林が闘莉王と激しくヤリ合い、闘莉王を異様に熱くさせファールを貰う。そしてそのFKから密集へのハネ返りを北斗がゴールに蹴り込むという、勝手なイメージ。
林は弱々しいシュートしかできなかったが、前線で十分に競ってはいた。
林を下げたのは彼の疲れもあったが。どうなのだろう、ここは松田さんに聞きたいところだが。そのお陰でレッズの闘莉王が前線へ顔を出せるようになったのだ。
もちろん、アビスパの厳しい守備組織に活路を見出せないレッズは土壇場でパワープレーを仕掛けるしか方法がなかったこともあるが。
三都主と北斗の戦い
三都主は試合前にメディアの記者にほざいていた。「僕が上がれば福岡は攻撃に上がれなくなりますよ」と。
しかし目論見通りにはいかず、三都主は90分間のほとんど1対1で負け続けた。
北斗はキチンと仕事ができていたし、この日は攻撃を我慢し、執拗に、まるでスッポンの如く三都主の上がるだろう道を塞いでいた。彼がらしくみせたのはFK1本のみ。
試合開始からふたりのせめぎあいは面白くはあったが。アビスパの右側(レッズからは左側)を攻めたいレッズの攻撃はほとんど機能しなかった。
その意味では、後半、右から(アビスパの左側)の攻撃を指示するかの如くブッフバルトが選手交代させたのは正解なのかも知れない。
アビスパの左側は誠史もアレックスも不在で、どちらかといえば右側に位置した佑昌と北斗の20歳コンビのような攻守の強い輪郭は作れなかった。
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■小野、不調
小野は大丈夫だろうか。
試合前の練習の時から、何となくだが元気がないように感じた。覇気を感じれなかった。
時たま”らしさ”はあったものの大事な場面で仕事できていなかった。

小野が回りを活かすというよりも小野を周りが活かそうとしてないのか。

そのあたりのことは良くわからない。早くコンディションを上げ復調して欲しいものである。
WC本番を前にして、絶対に必要な日本の才能であることは間違いないが、今の小野の調子ならタメを作りタクトを振れる小笠原の方を使うべきであろう。
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■我慢と厳しい試練
選手たちは組織的に良く戦っている。J随一といってもいいくらいの守備組織も機能している。この日も選手たちは強い気持ちを見せて戦った。
しかし、毎試合、毎試合良い試合はしていても、7節を過ぎてチームはまだ未勝利である。そしていずれもそこにあと一歩の強さに欠ける。
怪我人が復帰するまでは我慢の時期であろうし、現状は選手にもサポにも厳しい試練となっている。
近い時期、この経験が生きない筈がないのだが。
こうなればどんなことをしてでも早く勝利の歓喜を共にしたいのが本音である。