地方の中小クラブのアイデンティティ

■クラブにビジョンはあるのか?
フロントは、アビスパが誇るセンターバック長野聡を移籍させた。
ヴェルディ側(おそらく都並氏?)からの交換トレードの申し入れに乗ったらしいが、本当か?
このところの補強話しはいずれも現在J2を戦うチームとのものだ。
しかも加入する彼らは一様にベンチ暮らしの選手たちである。
アビスパに入ってきた選手のことは誰であっても歓迎はしたいが、J2でスタメンすら張れない選手を加入させることが本当に「補強」と言えるものなのか。

どうやらチームを統括し責任者である長谷川氏のチーム作りは、これまで培ってきたベースを破壊し始めたようにも見える。(彼の背景に暗躍する寄生虫でもいるのか知らんが)

アビスパは、若い選手を使いながら育て、育てながら結果を出そうとしてきた。
つまり財政基盤が脆弱なクラブが取らなければいけない路線を当然のごとく歩いてきた。
併せて地元出身の選手たちを大切に取り込んできた。

サッカーチームさえできればいい。組み合わせは誰であっても中心選手が毎年変わってもいい。
もしそうであれば、何もアビスパである必要はない。

勝ちさえすればいい。残留さえすればいい。それは一時の感情で発することはあっても、真実は違うだろう。

負けてもいいとは思ってはいないが、あの選手と一緒にスタジアムで戦いたい。あの選手が倒れるまで頑張ったのだから、結果はともかく精一杯応援する自分も納得する。

アビスパ福岡アイデンティティは一体何か。

その点をアビスパ愛する人々は十分に認識し、そこに魅力を感じて応援しているのではないか。

長野聡は、普通の選手ではない
しかし、フロントはこれまでの責任逃れで、口利きできるJ2神戸やJ2東京Vに声をかけただ単にお茶を濁しているだけのようである。
長谷川氏の仕事ぶりがそう見える。

地元出身で福岡大出身の長野聡は、J1でも十分に通用することはこれまでの活躍を見れば明らかである。
現在は千代反田と金古が累積欠場や怪我の時にバックアップとして働いているが、ある場面においてはこの二人以上の働きを見せている。長野聡のように、国内にはワシントン(レッズ)と対等に亘り合えるDFは中々いない。長野聡は、このまま経験を重ね来季は必ずやレギャラーの一角を担うべき人材である。

さて、今、アウェーゲームの遠征に出かける大勢の選手の中で、生粋のアビスパ福岡育ちの選手が何人いるか?
長野聡は、その数少ない選手の中の、順調に育ってきた大切なひとりである。

で、何故。
何故、彼、長野聡を(レンタルであっても)放出するのか。
私には、放出する意義や意味がさっぱり見えない。
このことによってDFの弱体化は避けられない筈である。
アビスパの補強に真摯に取り組もうとせず、長谷川氏は他チームの補強に手を貸してどうするのか。
長谷川氏は、財政厳しいクラブからサラリーマンの何倍もの給与を貰っているが、本当はアビスパ福岡を愛してなんぞないのではないか。
このことで乾先生の福大ルートに傷がつくことは避けられないし、長谷川氏がその辺りに思い至らぬことは誠にもって残念である。

このことは、開幕前から長谷川氏が叫び続けている「FW補強」とは、全く異質の次元の違う話である。