Jクラブの営業収入

東洋経済」(12/30〜1/6号)が、日本経済を中心に2007年のトレンドと見通しを詳細に分析し大特集を組んでいる。折を見て目を通しているが大変に興味深い。
書店には未だ山積みされているので関心がある向きには購読をお勧めしたい。
■Jリーグの入場料収入
その東洋経済にJリーグの特集が数ページ組まれている。
題して「浦和レッズは経営でも優等生、数字で見るJリーグ戦力地図」
J31チームを4つの項目に分けランキングされている。記事から一部を抜き取ってみた。

[入場料収入シェア]入場料収入/営業収入(06年)
1. 新 潟 44.9%
2. 仙 台 40.8%
3. 鳥 栖 34.6%
4. 浦 和 33.6%
5. 札 幌 32.1%

12. 福 岡 19.4%

もっとも地元密着型の地道な営業の帰結点は、ファン層の拡大でありサポーターを増やすことであろう。
アビスパ福岡の緊急かつ最重要課題が入場料収入の問題である。
私見だが、福岡は営業収入全体に占める入場料収入の割合を30%まで上げないと安定したクラブ経営は見込めないようにも思える。
もちろん営業収入の中で入場料収入が占める割合が高いほど地元に密着した仕事をしているともいえる。クラブ幹部の意識を変えることが優先課題であると思うが、福岡が毎年毎年サポンサー頼みばかりの仕事の延長ではクラブの改革は果たせない。
付け加えると、シーズンシートの売上げが堅実なチームほど上位にランクされる。

■優良クラブは株式上場を狙う
営業収入面では、膨大な放映権料を持つマンチェスターユナイティッドが350億円で世界一を誇り、それには遠く及ばないもののJリーグの一番手は浦和レッズの58億円である。
浦和の内容からいけば底辺組織を強固にし、圧倒的な数を持つサポーター参加型の仕組みを継続させることでこのままいけば株式上場も数年後には果たせると思う。
中小の各クラブが安定した経営をすることが前提になるが、浦和が自ら放映権を握りリーグからの分配金さえ不要になる時期が来るかも知れない。
さて営業収入に関してはアビスパ福岡は、全31チーム中22位の12億円である。
規模としてはJ2の中位レベルしかない。
ところで営業収入は大きくは3つに分けられる。

[営業収入]
入場料収入:ファン・サポーターが購入するチケットやシーズンシート
広告料収入:スタジアム看板、ユニフォームなどの広告などのスポンサーから入るスポンサー料
その他の収入:グッズの売上げ、スタジアムでの飲食の売上げなど

■Jリーグの広告料収入

[広告料収入シェアランキング]広告料/営業収入
1. 川 崎 66.0%
2. 京 都 63.6%
3. 大 宮 60.7%
4. 名古屋 60.3%
5. 広 島 55.4%

9. 福 岡 47.6%

前年クラブ創設10周年を迎えた川崎は、親会社である富士通から10億円の広告料収入がある。上位のチームはいずれも強固な親会社を持つ。
■Jリーグの営業利益率ランキング

1. 甲 府 13.6%
2. 京 都 11.1%
3. 徳 島  7.9%
4. 千 葉  6.4%
5. 浦 和  6.1%

数年前まではクラブ存続も危ぶまれた甲府が見事に経営危機を回避。1位は見事。地元の方やクラブ関係者の苦労話は有名です。
■Jリーグの自己資本比率

[自己資本比率ランキング]純資産/総資産
1. 鹿 島 84.8%
2. F東京 80.7%
3. 山 形 79.1%
4. 徳 島 78.1%
5. 名古屋 71.1%

8. 福 岡 56.1%

財務健全指標を表す数値が自己資本比率であるが、一般企業であれば金融機関から要注意マークのつく債務超過企業が現在のところ7クラブ。これら鳥栖草津、神戸、大分、水戸などは危険水域内であることがわかる。
鳥栖は、社長が代わり前向きで大きな舵取りの中経営改善中、神戸は三木谷氏のポケットマネーで累積赤字を解消させようとしている。
もっとも健全な経営に取り組んでいるのが鹿島でその次がFC東京。これらは実業の世界で経営手腕を振るった経験を持つ幹部がそこに存在するからだろう。
Jリーグは目先のチーム作りや戦績も重要なことであるだが、堅実で安定したクラブ経営ができるかどうかが実は問われている。
■営業収入ランキング(補足)

1. 浦 和 58.1億円
2. 横浜M 48.2億円
3. 磐 田 38.9億円
4.  柏  38.7億円
5. 名古屋 37.2億円
6. G大阪 34.2億円
7. F東京 31.7億円
8. 鹿 島 31.6億円
9. 東京V 30.8億円
10. 清 水 30.8億円