スタッフ補強

課題は何も解消していない
■久永の気迫
草津戦は互いに似たような戦い方をしていたが、どちらかといえばチームとして成熟途中の草津の方が良いゲーム運びをしていた。実際、草津が前半ドローに追いつけばどう転んだかわからないゲームだった。
ただ、個々の選手のスキルの違い、それも技術だけでないボールへの気迫の込め方の差で福岡はどうにか勝ち点3を取れた。
それは中盤の3人の主力ベテランたちの存在による。

布部陽功(33):近大→ヒョーゴFC→V川崎→磐田→神戸→C大阪
久藤清一(33):筑陽学園→磐田→福岡→磐田→C大阪
久永辰徳(29):鹿実高→福岡→横浜FM→福岡→大宮

J2レベルではない久永の気迫のこもったうまさ、久藤のゲームを読む目、そして布部のハードアタック。
昨年までの”ホベルトのチーム”が、重心がやや前がかりになった現在、これら3人のベテランたちの頑張りでなんとかのチームは体面を保っている。
■守備面での戦術的指導
攻撃面では、FWの人材に相変わらず難はあるもののアレックス、久永の個人技と佑昌の成長でなんとか先が見えてきた。誠史もいる。チームとしては確かにこれまでとは違った得点力を有するようになった。
しかし、宮崎キャンプから露呈してきたことだが、チームは攻撃面で突出した指揮を振るうリティ+クラークコンビに見合うだけの、守備面でのスタッフが明らかに欠けている。
このことは北斗が復帰するだけでは課題は解決しないように思う。
シーズンはまだ長い。
「攻めることで守る」というリティのサッカーには実は前線に”強力なFW”や身体を張れる屈強なセンターバックが必要である。しかし資金面でそれが叶わないとなればどうするか。

リティはまるで鍛冶屋さんのようだ。
個々の選手に焼きを入れ、水で冷まし、更に焼きを入れ続ける。選手たちには長く苦しい環境条件でスキルアップを望む。
長い視点でチームを任せるならそれも良い。選手たちに高い精神性とやる気と全力で取り組む姿勢さえあればゲームで使い、選手たちを鍛え続けるだろうから。

しかし。
J1に「1年で復帰」という目標実現を前提にするならば。
小林氏(チーム強化部長)が補強を考えないといけないのは選手よりもむしろ戦術的に優れた専門的な守備コーチであるように思う。
ホベルト、金古を放出するに至った戦力的バランスを崩したのはリティであるが、それでも成績や時期に応じてフロントにはチームのバランスを整える役割がある。
当然、小林氏はその前にリティと肝を割って話す必要があろうが。