調整役久藤の面目躍如

[J2第35節、福岡ー山形]:博多の森球技場
■久藤
このゲームは、ボールを追うのでなくできるだけゲームキャプテンである久藤の動きを追ってゲームを観戦しました。
このゲームもリティは3−6−1の布陣を敷き、時に必要に応じて4−5−1またある時には4−4−2の布陣を作りました。その中心にいたのが久藤でした。
前半、序盤から、久藤は左サイド気味にプレーしていました。
いつもの久永のいる場所に近いところです。

チェッコリの周りのスペースを意識してプレーしているようにも見えましたし、右サイドハーフの久永をできるだけフリーにしてあげようとしているようにも見えました。
福岡の攻守の生命線はサイドにあります。
右側は山形辰徳田中佑昌のシーズン序盤から熟成されつつある二人のコンビで連携を作れています。
そして前試合、水戸から狙われていた(福岡から見て)左側のスペースに、この試合久藤は何度も、何度も、顔を出していました。

特に、久藤ほど動きにメリハリのある選手はいません。

自陣ボール時。
久藤は前線へ顔を出し、あるいは前線の選手たち宮崎光平リンコン等に質の高いパスを通していました。
中でも光平の鋭い動きは久藤を信頼し切った上でのプレーで、残念ながら自ら得点チャンスを2度ほど逃しましたが、久藤の質の高さは光平の縦へのスピードにマッチングするように見えます。

相手ボール時。
久藤は左サイドをケアしながら、布部陽功が3人のバックラインに参加し4バックとなった時には、中盤の底に位置しバイタルエリアにスペースを空けぬように動いていました。またゲームが落ち着いた後半からは久永が左サイドバックの位置まで下がるとボランチの一人として自らの使命を果たしていました。

久藤ほどのゲームメーカーとゲームを読む目を持ち合わせた選手は、今のJ2には存在しません。名波を除いて。
■快勝
山形に比べシュート数は少なかったのですが、ゲームを最後まで支配し続けたのは福岡でした。
福岡の快勝の底に久藤の戦術眼がありますが、福岡は山形の選手よりもゲームに集中できていましたし、相手ボール時の守備的な集中力とボール奪取力は目を見張るものがあったように思います。
リンコンもアレックスも必要な時は守備をし、まるで開幕戦のように相手ボール時の激しいチェックとチェイシングがありました。
このゲームに関しては攻守のリズムがしっかりできていました。

福岡3−0山形[アレックス(PK)、リンコンリンコン]
今季の福岡はこの二人で31ゴールを叩きだしています。
これはリーグは違いますが前年のチーム総得点32にほぼ並ぶものです。
また彼ら二人が中心になって稼いだ今季32試合経過での総得点数57は、リーグトップとなるものです。

あとは熟成しつつあるこの戦法が上位の京都に通じるかどうか。
次節京都戦は、それこそ今後の福岡のJ1昇格レースを占う重要な1戦になるように思います。