街にJクラブがある喜び Ⅱ.

■J2下位並みの体制
アビスパ福岡を持続可能しているのは、ホームタウンとしての地元自治体のメンツや、地元財界(いわゆる七社会と言われてる)の若干の支えがあるに他ならない。
街に、なかなかサッカー文化が根付かない(根付かせようと努力していないのだが)この地域においては、それら(大手資本の支え)が欠落すれば、プロサッカーチームの登録は抹消される。その危機は現実、今もある。
素晴らしい指導者のもとで地元大学サッカー部が日本一になっても、東福岡や筑陽など地元高校が強豪校として全国に名をはせても、たとえ都市圏の人口が200万人を越えていたとしても、地域のプロチームがそれらの頂点には位置しないという現実。

問題はハッキリしている。

定期的に地元財界から送られている人材は、およそクラブを支える能力には程遠く。
唯一つ、普及部門を除いては、他の大都市圏のJ1強豪クラブのように力のある担当部長(育成、普及、強化、営業、総務各部門の部門長)も誰一人育っていない、脆弱な体制。
ある方がいうには、「プロとは名ばかりで高校部活レベルの体制ではないか」と。
どういう会社にしたいのか、どういうビジョンを持って仕事に取り組むのか、13年間、中長期の目標すら打ち出せず、寄せ集めではなかなかそれもままならない。
■草の根の継続的な支え
強いチーム(A)を支えるには、あるべきはずの地域の継続的な支え(B)と、強固な経営体制(C)。
この3つはそれぞれにリンクし、いつであってもどんな場面でも必要条件となる。

だが、この地のファンの目線はAだけに集中し、サポーターと言われる応援部隊も、長くAにしか関心を寄せてきていない。
求められるように、素人幹部は興行会社そのままに、BもCも放り投げ、これまでトップチームだけに経営資源を投入してきた。
この構図は、ある時期、市民の血税を含めた30億円をドブに捨てても変わらなかった。
他と違い、この地の地元マスコミは、地域にある誇りや志を拾うことさえせず、その力にさえならない。

さて、この地域に、Jクラブが継続的に存続していくことに大きな危機感を抱いた人々が集り、長い準備期間を経てこの春より「2009年プロジェクト」が生まれた。
七社会だけに依存しない、地域と継続的に繋がった形の下支え。
署名運動の際にはあったはずの、(真の意味で)その頂点にプロチームが位置するというバランスの取れた地域的な繋がり。

プロジェクトについては、未だ活動内容は公けにはされていないが、個人的には、草の根の地域の継続的な支えを取り戻すことこそが、クラブを改革できるエネルギー母体になれると信じる。
その第一弾が、先日の「ホームタウン香椎・千早」の試みであったように思う。
(つづきます)