玄洋は海を越えて・・その1.
■海を越えた福岡の男たち
今年は辛亥革命から100年。 ジャッキー・チェンの最新映画だけでなく、九州では荒尾市を中心に様々なイベントが開催されている。 先日は、福岡市中央区の唐人町商店街の中にある芝居小屋(甘棠館)にて、劇団ショーマンシップによる記念公演が開催された。 チケット完売が続いたこの公演は辛亥革命の主人公である孫文と彼をかくまい支援続けた日本人の物語である。 (この芝居の件は、後で触れます)
小さい頃に世話になった人たちの、自分の身の回りにいた人々(戦争を経た男たち)のほとんどがとても寡黙で、自己正当化や言い訳を嫌う人々がとても多かった。
あらゆることに背中を向けず立ち向かったその人たちは、その精神、とても屈強で恐れを知らない、見ていて憧れの男たちであった。
福岡にはそういう男たちがいた。
そして今ではそのほとんどの方たちが亡くなってしまった。
明治半ばから大正、そして昭和にかけて中でも戦前の人のことは実像を語られることがとても少ない。 敗戦以降の66年間。 アメリカによってもたらされた戦後民主主義への大転換によってその実像さえ抹殺され、かき消されてきた。 歴史の闇に葬られた実像。 この福岡の地には、強い志と屈強な精神ともにアジアを駆け巡りアジアの人たちと大きな連帯を作る人々が数多くいた。 辛亥革命。 インドの独立運動。 フィリピンの開放運動。 福岡の男たちは何も求めず、そして静かに、かの地の人々を支え、支援を続けた。
玄洋社の人たちを中心とする活動は、その後の日本軍部の暴走によるアジアの歪んだ”日本化”とは全く意を異にする。
そんな誇るべき福岡の男たちのことを、少しづつ書き残していこうと思う。