ヤナギには後がない
自分の身の置き所について揺れ動いていたヤナギの気持ちが、強い意思となって、牛島氏や鈴木部長を動かした。
チームや上に対して、珍しく自己主張したヤナギであるが、余程胸のうちは燃え滾っているに違いない。
海外挑戦に失敗して過去のFWの選手のように並の選手に転げ落ちていくか、やっぱしヤナギと、花開かせるか、もはや27歳になったヤナギには後がない、と思う。ここまできたらどうなっても応援する気持ちは強いけど。
レンタルを何年も続けさせる余裕は、田舎チームの鹿島にはないハズだ。
「メッシーナに、レンタル移籍」が決定。
彼に必要なのは、技術的なことや身体的なことではない。その才能は誰もが認めるところなのだから。 必要なのは前に進み、局面切り開こうという強い「意思」と、自らの運動で決定的な仕事をするという 強い気持ちであるだろう。 一年間を無為に過ごして、苦渋の状態から新たに強いものが胸のうちに芽生えたであろうから、それを ブツけるだけだ。
メッシーナは、ゴッドファーザーのふるさとシチリア島にある。
シチリア島はイタリアの長靴の底にあって北イタリアに比べれば豊かでなく地震と商業の町だ。どちらかといえば南部のチームは貧しく弱体化している。
メッシーナが昇格したセリエAは、来季から20チームとなるが、資金面に限らず、イタリアサッカー界は多くの問題を抱えている。
ヤナギもビッグヒーローにはなれなくとも、代表もクボや玉田や隆行などに任せて、しっかりした仕事でチームに貢献し、 一年でチームがセリエBへ転落しないような活躍を見せて欲しい。 中途半端な状態で、あれもこれもは、もう許されない。 むしろ、このところのヤナギのコンディションなら、代表には要らないのだから。
公式HPの本人のコメントは以下の通り。
『昨年一年間の悔しさだったり、得たものだったりの経験、そういうものを十分に生かせるような、ある意味昨年よりもいい一年を過ごせると思っています。』
『いい結果を残す事がすべての人に対する恩返しになると思いますので、なんとしてでも結果を残したいと思います。』(ヤナギ公式HPより)
これはTVでしかヤナギを見た事がない人にはわからない話しなのですが。 代表で彼をチョイ見したとしても、中々伝わらない、”ヤナギマニアな”話しなのですが。 02年6月まで東京にいた私は、時間作って鹿島通いをして入団以来、ヤナギのプレーを見てきた。 何と言ってもスタジアムで見ないと、ヤナギの良さや素晴らしさは30%位しか伝わらない。 晩年の鹿島でのゲーム中のヤナギは、誰よりも視野広く全てが見え、前線でのゲームメークに追われていた。 チームの勝利のために。 人を活かすことが元来好きな方だったヤナギはゲームメイカーの一部を担っていた。 器用な彼は、一人何役もやっていた。 そして、動き出しの早さや図抜けたスピードはイタリア・サンプドリアではサイドの役割に置き換えられた。 私は覚えている。 無心になって何もかも夢中に取り組んだあの頃。 ヤナギの98年前後の頃。 その頃のヤナギは一心不乱にゴールを目指していた。 私は、いつか、再生したヤナギの、98年の再現は必ずやってくると思ってる。