マンガの終焉

「ファンを失望させたこの二日間を、無駄にしてはならない」と、今朝の読売新聞一面で、運動部の小石川とかいう記者は書いた。
この、世論を読めない頓馬な記者が書くように、ファンは、決して失望しなかったし、なんと80%の人々の圧倒的多数が、ストを支持したのだ。
今回、世論が、読売を中心とする強硬派を動かしたのだ。
読売・渡辺、オリックス・宮内、西武・堤の、財界三羽ガラスの思わくは、見事に粉砕されてしまったのだ。

彼らの狙いはひとつ、それは1リーグ制にすることだった。
それはセリーグ”だけ”が甘受している「巨人戦」を、みんなで分け合おう、という発想だった。
中でも金の計算しかできない宮内氏は、そのことに執着していたし、今回、彼は水面下で動きに動いた。近鉄を吸収することも、その路線の延長だった。
また、「ストをやれるなら、やってみろ」と、古田を恫喝したのは、オリックスの球団社長だった。

理念なき西武のオーナー堤氏は、ロッテの重光氏(二代目)やダイエーの中内氏(二代目)におどしをかけた。「お前ら、合併しろ!このままずっと赤字続けたいのか」と。堤氏は珍しくマスメディアにリークもしたし、普段はやらない記者会見までしたのだ。
彼らは自ら動いたし、”流れ”を作ろうとしたのだ。
ダイエーは、親会社の、メインバンクからの圧力(産業再生機構問題)で揺れていた。単純な堤氏の思惑通りにはならないハズだった。

もちろん彼らには、ハナから、今の球界を改革しようとか、機構の矛盾を正そうとかいう発想は最初からなかった。巨人戦さえ組めれば良かったのだ。
その点では、彼らは興行屋でしかなかった。

親会社の読売新聞の、グループとしての経常収支の中の、益をもたらす「巨人軍の利益」は膨大なものであったし。また、読売は多くの利権を手に入れているだけでなく、機構の仕組みも、そして制度も、すべて自らに都合の良いように歪めていた。その為には、もちろん、コミッショナーは飾りでなければならなかった。
すべてが思い通りにいっているという自負が、渡辺氏の「選手ごときが、選手の分際で」といった悪態とも言うべき醜い発言になった。プロ野球界において、彼は天皇だったのだ。

読売依存型からの改革に見向きもしないのは、セリーグ各球団の幹部も同罪だった。
すべては読売を中心に回っていたし、何もかもが読売次第だった。

これを破壊しようとしたのは結局は機構の内側からだった。
選手会をリードする古田には数々の改革案があった。彼ほど野球界を考えている人間はいなかった。
古田の改革案については、先日こちらで一部を紹介済みですが。
OBは、星野氏を除いてチキンだった。野村(元阪神監督)でさえ受身でものを言っていた。
今回、古田なしでは選手会もまとまらなかったと思う。各球団の副会長たちも懸命に彼を支えた。
ただひとり、読売の”義理が重たい”清原を除いて(彼は筆頭副会長のハズだが、高橋が動いたからなのか)

いずれにしても、
組織が未成熟であることを露呈したプロ野球機構は時間をかけて改革に向かうことだろう。
もちろん、そこでは合併吸収される側の近鉄球団の選手たちの処遇から、始まるのだろうが。

新規加盟球団の受け入れ審査はむろん、
・2リーグの交流試合
・ドラフト制度の改革
・選手年俸問題の改革
・機構の権限と権利
など、それこそ100年先の視点で議論がされることを望む。老害たちの後始末も含めて。

今後、その議論の場に入るのが古田であるなら、間違いなく改革は進むと思う。
彼らが、やがて向かう道筋の模範は、実は百年構想のJリーグしかない。
実は、楽天ライブドアーも、私には、本気で野球が好きなんだ、というものがまだ見えないのだが。

比較すると、財務内容からも、Jに加盟したばかりの楽天に決まるのだろうが。
あの、三木谷氏で大丈夫か?