王者の慢心

まさか西武の伊東監督でさえパリーグを制覇できるとは内心思っていなかったであろうと思う。戦前は、チーム力・実績・経験すべてダイエーに分があった。プレーオフ前のリーグの総合順位も悠々のトップだった。
さて、そのダイエーが何故敗れたのか。これから各方面で分析がなされるだろうが、この機会に少し書き留めておきたい。

最大の要因は、今季三冠王の松中のプレーオフの不調と、前年20勝を上げたエース斉藤の不調だろう。
王さんは否定するであろうが、ダイエーは西武を舐めてた節がある。果たして、短期決戦用のゲームは日本シリーズに取っておいたのだろうか、細かく繋いで走り、守る野球を、ずっと忘れていた。
1アウトの重みも、一球の大切さも、最終試合の後半でようやく想いだしたようだ。それまでは普通に大振りしていたし、どちらかと言えば力で捻じ伏せようと個人プレーに走っていた。
右打者は、右へコツコツと流し、足を使ってゲームを作るということを忘れていた。
松中も三冠王で浮かれてしまったのか。土壇場になって自分のタイミングをすっかり忘れてしまった。全てが終わって、彼は涙を見せていたが、この悔しさを忘れずもう一度精進するべきだ。

選手たちのほとんどが無意識のうちに、慢心していたと思う。普通にゲームに臨めばシリーズに行けると思っていたのだろう。ひた向きさをどこかに置いていたように私には見えた。
来季も王さんが指揮をするらしいが、初心に帰って、この”ひたむきさ”を忘れず、一から出直しだろう。
前年とは比較にならないほど仕事をしなかった斉藤も、杉内も、汗をかいて人の何倍も走りこまなければならない。

苦しまないと喜びはかえってこない。

昨年日本一のダイエーは敗れたが、両チームとも投手力がいいので日本シリーズは面白いゲームになると思う。しっかりコンディション整えて準備できるだろう中日が優勢か。