「晩秋山形紀行」その3

■新蕎麦食べ歩く

19歳の春、長野で始まった私の蕎麦食べ歩きの旅の頂点は、これまで、長く長岡のヘギ蕎麦であった。
しかし、今回、大石田の「七兵衛蕎麦」に行き、数年ぶりにその位置がとって変わった。

山形市から羽州街道を、天童市を抜け、そして村山市を越え、更に最上川を渡り、峠を越え、風景は晩秋から、初冬へと変わって行く。その山合いの中に、その蕎麦屋はあった。
まだ、11時過ぎだというのに、既に40台位の車が道路沿いに並んでいた。そのあと次々と、宮城ナンバーや庄内ナンバーや湘南ナンバーが集まってきた。この60数席の蕎麦屋は、お昼に何回転するのだろう。
活気あふれる配膳するオバちゃんたちの声、蕎麦を打つおやじのまな板をたたく音、それらがBGMとなっていた。

窓の外は、晩秋の木々が、穏やかに風に揺れていた。