新たな年へ

天皇杯は、ベスト4が決まりました。05年のスタート、正月元旦にゲームをする幸運を背中にしたチームは果たしてどのクラブなのでしょうか。今年度の最強クラブと見られている浦和レッドダイヤモンズが無冠のままに終わるのか、それとも、坪井が復帰して念願の「賜杯」を手にすることができるのか、注目です。
準々決勝の鹿島は、ガンバ相手に、中田浩の故郷である鳥取で戦い、残念ながら力通りの結果であったようです。長い一年が終わってしまいましたが、選手たちはしっかりオフで身体の手入れをし、心身ともリフレッシュして欲しいものです。来季は、セレーゾの最終年となるでしょうが、有望新人も加入して、果たして。

今日は、時間があれば、そろそろ「04年アビスパ」を総括(?)する書き込みをしたいと考えていますが。

■若い世代の育成と成長
アビスパ福岡U−18チームは、決勝トーナメントに進出した。決勝トーナメントではジュビロユースに5−1で敗れはしたが。
また、
アビスパ福岡Uー15も、高円宮杯大16回全日本ユース大会(U−15)でも決勝トーナメントに進出している。クラブの地道な取り組みが功を奏し、昨今のU世代の充実ぶりは顕著である。

『福岡がJ1で残留争いを繰りかえしていた頃は、トップチームの補強に追われ育成組織まで十分に行き届かなかった。だが、02年にJ2に降格し、昨季頃から腰を据えて若手育成に取り組み始めた。今季はサテライトで力をつけたFW有光らが活躍するなど着実に成果を上げた。』
『来季のJ1復帰は逃したが、この方針を地道に継続することでJ1に定着できる力が備わる。九州各地の指導者から「教え子をしっかり育ててくれる」との信頼を得て、有望新人の加入が更に増えるだろう』(福岡大学乾監督・ナショナルトレセンコーチ)

福大から今季3人の選手がJのクラブへ入団する。その進路の見極めは、「強化方針」や「選手編成」であると、乾先生はハッキリ明言する。
乾先生も言うように、「サテライトやユースの育成組織がしっかりしているチームは、成績も安定する傾向がある」。これまでの鹿島や市原などはその代表であろう。
アビスパ福岡も、練習生上がりの有光だけでない、今シーズンは、MF山形、DF増川などがレギュラー格に成長し終盤の大事なゲームで活躍した。豊富な資金がないクラブは、若手を自ら育て成長させ、活躍するまでになるような体制を作ることこそ重要であろう。

■昇格、即降格、ではシャレにならない
今季のJ2は、川崎Fの完全独走であった。

川崎はJ1へ昇格するチャンスがこれまで幾度もあった。しかし、”運良く”昇格しなかったお陰で、この3年間の期間で、会社組織も、支援組織も、しっかり見直し、「富士通」という企業クラブから見事に市民クラブへと見事に変貌を遂げた。
川崎が万が一、2、3年前位に昇格していたら「またスグに降格してしまうような脆弱な体制」でしかなかったと川崎Fの関係者は言う。
鹿島から来た関塚氏の指導や、補強がうまくいったこともあるが、おそらくこのままいけば、今後の川崎Fは、J1で安定して戦う体制が整ったクラブであると思える。

福岡も、今回の、J2での3位の成績を真摯に受け止め、より体制強化に努めるほかない。昇格して即降格だとシャレにもならないし、サポーターの大きなエネルギーを次第に積み重ねながら、大きなうねりへと集約していくことも困難になることだろうし、J2、4年目の来季は、いろんな意味で試金石の1年となることだろう。
■クラブ幹部への要望
以前から、アビスパ福岡の幹部は、大企業の係長か課長レベルの、小ぶりな仕事ぶりのような気がしてならない。

どっしり構えてクラブの長期的なビジョンをはっきりと打ち出し、熱烈なサポを引き連れて巻き込んでいくような”人間力”を未だに感じない。GM的立場の顔もはっきりしない。更に、地元に対する密着度もまだまだ薄いといえるだろう。
ソシオの更なる増員。地元ホークス並みの営業展開。等などやるべきことは山ほどある。4万人以上を集客するJ1新潟や、2万人平均を集約するJ1大分は、その成功例として謙虚に学ぶ必要がある。

今季の反省や来季の指針などもマスメディアを巻き込み、来季へ向かっての大きな”渦”を今こそ作るべきであろう。
観戦するとわかるが、大分ビッグアイと比べても、博多の森で観戦する子供たちの数が、圧倒的に少ないことを、私は以前から危惧している。
■監督問題
どうやら松田さんは継続して来季も指揮を振るうらしい。
「2年でJ1へ」の、約束を果たさなかった松田さんの口から、今季の総括めいた話しはまだ伝わっては来ない。

しかし私は、”これだけの人材”で、非常に組織的に戦うチームを作った松田さんの功績は認めたい。早野さんの柏と戦ってみて、選手個々のパワーで圧倒されてしまったが、組織としては柏よりも数段上であったことは、競技場でゲームを見れば理解できる。
松田さんは、「今季を省みて、何が足りなかったのか、何故に川崎に圧倒的に引き離されたのか」を明らかにし、大きな声でクラブへ具申し、その後の対策と指針とすること。
また、「来季、第一レグ(4分の1)の段階で首位でなければ監督交代する。」というような覚悟で、序盤から戦って欲しいものだ。

今のJ2福岡には、訳のわからない実績のない新人監督よりも、松田さんの方を私は選びたい。彼も苦しんだだろうし、今季の苦しい経験を糧にすることだと思う。決して、諸手を上げて結果の出なかった監督を支持する訳ではないが、上記のことを”条件に”松田さんにもう一度チャンスをやる位の度量も持った方がいいだろう。
来季こそは、間違いなく、出足が肝心であることは確かであろう。そして、クラブ幹部もろとも今季の二の舞だけは絶対に許されない。今季後半のような盛り上がりが、シーズン序盤から形作られ博多の森のバックスタンドが毎試合賑わうことを祈りたい。そうすれば、ピッチ上のJ有数とも言ってよい若い選手たちの成長は加速する。