啓発録

orion10142004-12-20

【立志】
志なき者は魂なき虫に同じ、何時迄立ち候ても、丈けののぶる事なし、
志一度相立候へば、其以後は日夜逐々成長致し行き候者にて、
萌芽の草に膏壌をあたへたるがごとし、
古より伐傑の士と申候んとて、目四ツ口二ツ有之にてはなし、
皆其志大なると逞しきとにより、遂には天下に大名を揚候なり、
世上の人多く碌々にて相果候は他に非ず、其志太く逞しからぬ故なり。(啓発録より)

幕末、福井藩の天才橋本左内は、弱冠14歳で、この「啓発録」を書き上げた。
西郷隆盛は、世を去るその日まで、左内からもらった手紙(何度も何度も手にし、しわくちゃになってしまった手紙)を、終生大切に持ち歩いたという。
左内は、吉田松陰らとともに、安政の大獄により処刑された。