「人生は、待つこと」

【The Terminal】・・・Life is waiting.
  DIRECTOR:STEVEN SPIELBERG
  COMPOSER:JOHN WILLIAMS
  CAST:TOM HANKS、CATHERINE ZETA-JONES

ある理由から、空港から出れない足止め生活を送るハメになる。ビクター(トム・ハンクス)は、ピーナツ缶の中に入った”約束”を果たす為に、ひたすら待ち続ける。
「人生は、待つこと」
この映画のテーマだ。愚直な彼は、ひたすら待ち続ける。かけがいのない約束を果たすために。
空港は人生の縮図であり、まさに世界そのものだった。空港での彼はその人柄で一躍人気者になり客室乗務員との恋も生まれる。空港には多くの問題を抱えた連中が働き、生きていた。

この映画の後半過ぎて、ようやく、彼が大事に持っているピーナツ缶の中味(謎)が判明する。小さなピーナツ缶には、亡くなった父親が大事に集めていた往年のジャズプレーヤー達のサイン。
そう、この映画は、大作でも、問題作でもない。スピルバーグは、「にっこりと微笑ませる作品を作りたかった」という。
もうひとつ。「この映画では”JAZZ”が、ドラマチックな役割を果たしている。」(児山紀芳氏)

1958年8月ニューヨークのハーレムのタウンハウスの前。57人のジャズプレーヤーが立ち並んだ大集合写真。
カウント・ベイシーコールマン・ホーキンスレスター・ヤング、ジョー・ジョーンズ、モンク、ミンガス、アート・ブレーキージェリー・マリガン、ディジー・ガレスビー、ロリンズ、アート・ファーマーホレス・シルバー・・そうそうたるメンバーが立ち並ぶ。
そして、この映画のもうひとりのターゲット、サックスプレーヤーのベニー・ゴルソン

ビクターの、ジャズ”命”の亡くなった父親はベニー・ゴルソンのサインだけを持っていなかった。果たせるかな、父との約束。
空港にとどまること9ヵ月。ようやく母国の紛争(内戦)が終結をみたビクターは、晴れて一日だけニューヨークの町を訪れることができるようになる。ジャズホールのベニー・ゴルソンに会いに行くために。

ゴルソンがジャズホールで演奏する「キラー・ジョー」は、この映画のハイライトシーンだ。

そして、70を過ぎたゴルソンは、来月来日し、ブルーノート東京でライブ公演をやる。
この映画はスピルバーグがいうように大作でも、問題作でもないが、トム・ハンクスの好演ぶりは見事だった。