Jリーグプレビュー

鹿島アントラーズ
新たなシーズンに入る前に書いておきたかったのだが、自身の体調悪化等で遅くなってしまった。
全盛時から比べると、"凋落気味"とも表現できる愛しの鹿島は、今季、セレーゾ6年目を迎えた。
セレーゾには確かに”3冠のイメージ”は残っているのだが、実は「10冠まで残り1」と、しばらく言い続けている。
チームにはそろそろ”新風”と刺激が欲しい時期であるのだが、悩んだ末に、牛島氏はセレーゾとの契約延長を選んだ。
さて、”鹿軍団”の行く末はいかに。
セレーゾ就任後の成績は以下の通りである。

        順位   得点率   失点率  
00年 1'st    8  1.33  1.13  
    2'nd   1  1.87  0.67  CS優勝、ナビスコ優勝、天皇杯優勝
01年 1'st   11  1.40  1.53
       2'nd   1  2.40  1.26  CS優勝、ナビスコ8、天皇杯4
02年 1'st   5  1.40  1.20
    2'nd   3  1.67  1.40       ナビスコ優勝、天皇杯準優勝
03年 1'st   8  1.53  1.40
    2'nd   4  1.40  1.26       ナビスコ準優勝、天皇杯4
04年 1'st   5  1.20  0.93
    2'nd   4   1.53  1.13       ナビスコ8、天皇杯

00年は柏、磐田に次いで、年間順位が3位。
01年は、年間順位は離されての2位で、磐田が群を抜いて強い時期であった。それでも鹿島は、CSを制した。
上記のように、就任2年間で好成績を挙げたセレーゾは、安定した磐石の成績を残しているわけではない。どちらかといえば、短期決戦型の指揮官といえようか。
■安定した守備とサイド攻撃
鹿島が好成績を収めてきたのは、伝統の安定した守備力もあるが、実は攻撃力にあるといってよい。中でも相馬、名良橋の両日本代表(当時)を有していた頃のサイド攻撃は、他のチームを寄せ付けない強さがあった。
全盛時代の鹿島はこの二人に秋田がディフェンスの中央を務めてきた。
00年、01年の、2'nd優勝の要因は、ここぞという時のその得点力にあった。中でも、この時期、柳沢の前線での献身的なチャンスメイクに、ビスマルクのセットプレーでの決定力は際立っていた。
■際立つ強さを失う
さて、無冠のまま過ぎ去ったここ2年間の得失点を、他チームと比較した年間順位で見ると。

     得点順位  失点順位
03年  10位    7位    
04年  11位    7位

秋田の衰えが出てきた03年は、守備力は「並」、攻撃力は、小笠原頼みで、”風の子”FWエウレルがハズれだった。
新旧交代の時期となった04年も、助っ人と期待したF.Jがハズれで、攻撃力は小笠原頼み。新たに加入した新井場の強みを生かせなかった。
いくらかの新旧交代は図ったが、岩政の成長以外に目だった成果は現れず、中でも攻撃面では小笠原頼み以外に新鮮な戦術を持っていなかった。
行き当たりバッタリに見えるセレーゾでは「相変わらず」感は、否めないので、今季は、まったりと若手選手たちの成長を見て行こうと思っている。
私は、セレーゾの指揮官としての能力に疑いを持つものではないが、現在のチームの現状と、戦力と成績で、彼に、指揮官としてチームを預けるタイミングはもうすでに過ぎ去ったのではと見ている。
■セレーゾ最終年
私は、今季はセレーゾ最終年だと思っている。できれば、今季いくらかの好成績を残して勇退し、娘さんたちが待つイタリアの家族の元へ温かく送り出したい。
後任は、おそらく、今季中位程度の成績を残すだろう川崎を率いる関塚さんを呼び戻すのは無理だろうから、来季はヘッドコーチの奥野氏に任せてみたい。
そのレール敷きのための一年として今季を見ていきたいものだ。
■浩二の穴は埋まらない
相手ボール時の危機察知能力や、守りにおけるバランス能力は国内でも有数の選手であった中田浩二が、フランスマルセイユへの突然の移籍で不在となった。
彼の代わりをできる選手など、そういるものではない。おそらく、当初は青木が務めるだろうが、彼も有能な特質を持ったいい選手であるのだが、スグに浩二の穴を埋めるにはまだ荷か重いし、チームとしても今季の前半は苦労するような気がする。
また阿部(敏之)も復帰したが、一年間続けては無理だろうし、外国人を連れてきて簡単に埋まるようなものでもない。
■今季は1リーグ制
今までのセレーゾの戦い方では、必ずや無理がくる。今季は、一年間の長丁場。結果を出しながら、戦術を浸透させ、若手を育成する、という複層した考えでチーム運営をしていかないといけない。いずれもうまく行きそうにないなら、シーズン途中に”交代”もあるかも知れないが。
■期待できる新戦力
今季は、大学NO.1FWと言われる田代、世界ユニバでも大活躍したボランチ中後、高校サッカーでも大活躍した興梠など、他クラブが羨むような逸材が久しぶりに入団した。
彼らは将来の中心選手候補であるだけでなく、即戦力としても期待できる。
■楽しみな若手
・岩政(学芸大出身、2年目)の成長。
・新井場(ガンバユース、移籍2年目)のチームへの順化。
・中島(富一、3年目)、増田(鵬翔、2年目)、深井(駒沢大、3年目)など、攻撃陣の成長。
今季は、新規入団選手以外にも、特に2年目、3年目の選手たちに楽しみな素材が多い。
■課題は決定力
DF羽田の、長期離脱からの復帰も歓迎すべきことであるが、チームとしての成績を考えると、「課題は決定力」といってよい。
チームの成績は、実はアレックス(ミネイロ)の働きいかんにかかっているといってよい。ハズれ続きのブラジル人も、そろそろいい加減にオシマイしてもらいたいものだ。
彼ら助っ人に、うまく働いてもらい、結果を出しながら、若手を引き出していくことができれば。
今季、得点能力が1試合平均1.70以上の結果が出れば、相当にいい結果となるだろう。そうなることを祈りたいが。
さて、今季は、埼玉スタジアムで、浦和戦からスタートする。