”総括”

J2は4分の1が経過した。自分は、今のところ、アビスパのホームゲームは草津戦を除いて皆勤している。
そろそろ、総括めいたことを書いて置こうと思っているが中々時間が取れない。明後日には、第2レグが始まってしまうというのに。
さてどこまで行けるだろうか。
『前線で、ボールが収まらない』

■前季との比較(いずれも順位は3位)
  [今季]:勝ち点18、4勝6分1敗、得点15、失点08
  [前季]:勝ち点18、5勝3分3敗、得点18、失点11

順位は、くしくも前季と同じ3位。首位との勝ち点差も、前季が9、今季が11と、大差がついている。
昨季は、後半の怒涛の8連勝があって初めて、3位の入れ替え戦にようやく辿り着いた。
今季、昨年のように破竹の勢いで連勝する可能性も残ってはいるが、冷静に考えても、チームがこのままの調子でいけば、昇格することは困難になる。
チームは、第1レグを反省、分析、評価した上で、昇格のための次なる対策を練ることが必要になってくると思う。

■アウェーの比較
 [今季]:勝ち点07、1勝4分0敗
  [前季]:勝ち点10、3勝1分2敗

今季の特徴は、アウェーのゲームで中々勝ちきれていないことだろう。今季は、アウェーでリードして終盤に追いつかれるパターンが数多い。その点で勝ち点6以上は失っている。
第一のポイントは、ここにあると思う。その点を少し分析してみたい。
1.このところのアビスパは、リードしてもリズムに乗れずギアの変更なしの「攻め急ぎ」が多い。
慌てての、終盤同点されるシーンは、札幌戦、徳島戦などがそれを象徴している。
2.チームは若い。ゲームのやり方も中々大人に成りきれない、若い戦い方をしている。
勿論、アビスパは、若い選手たちを育成しながらここまできた。そこに3人のブラジル人を織り込んだチーム作りである。
ゲームの流れを読み、リズムを変え、チームを落ち着かせるためのリーダーが、現在、不在であることは確か。本来、主将を担っていた千代反田の役割だと思うが、このところ、彼を松田さんは使っていないし、ベンチにさえ置いていないこともある。
3.チームが前線でタメを作れないことも、特徴あるサイド攻撃を生かしていない点だろう。
また前線の選手が中盤の選手と連動しての守備ができていない。よってボランチにシワ寄せが来、ボールを奪われ、決定的なシーンを作られ、失点することに繋がる。
・4得点の有光は、ドリブルの切れ味が前年ほどではない。しかも有効でないワンタッチではたく場面が非常に多い。ボールは90%以上が相手チームに奪われる。
・後半から出場する電柱太田は、ガタイの大きさから相手DFには確かに恐れられてはいるが、技術力のなさからキープ力に欠ける。また上背は196とJ随一高いが、競った際にヘディング届いてない。彼には習得研究すべき課題だが。
・助っ人グラウシオは、前線で身体を張るタイプでなく、競り合いに非常にもろい。前を向けばいい仕事が多いので、やはりサイドタイプなのだろう。これは見込み違いだと思う。
松田さんは前線に使っていることが多いが、私は、彼はFWには向いていないと強く思う。
・そして、チームで最もキープ力や技術を持つ林は、怪我で離脱中。
アビスパの攻撃力の特徴は、サイド攻撃にある。
サイドの選手の相手DFの裏へ抜ける頻度(場面)が、今季は極端に少ない。このことこそ前線のキープ力と相関する問題だと思うが。
『恐れずにDFラインを上げてみろ』

■無失点試合
 [今季]:無得点試合4、無失点試合5
  [前季]:無得点試合3、無失点試合2

今季は、リズムは良い時は無失点に抑えている。11試合中5試合を零封した。守備力の安定は今季の方が上回っているのだろう。
そういう意味では岡山の加入と宮本、川島の健闘ぶりが伺える。
しかし、前季は1試合しかない「0−0」のゲームが、今季は”3試合”もある。
緊張感のある場面でのあと一押しと決定力のなさは、このチームの以前からの課題ではある。期待されている助っ人グラウシオが評判通りに得点を上げていない部分も大きい。
また、守備リスクを排除するあまり、DFラインが下がってしまい2人のボランチの運動負担が異常に増えつつあることも否めない。ホベルトも人の子。最近、疲労でキレを欠いている。
また現在のDFスタッフは、ここ数試合、効果的なオフサイドを取れていないし、アビスパの組織的な守備は、コンパクトさと、DFラインが下がり過ぎないことが前提にあるはずだ。
この点は、至急修正すべき課題だと思う。
[対策]
前線の課題は、林が復帰すればほぼ解決すると思うが、彼の復帰まではしばらく我慢の時間が続くものと思う。
資金力を有してないアビスパには、現有ずる選手を遣り繰りしながらやっていくしかない。
ゲームプランとリズムの悪さについては、松田さんの問題だと思う。試合後のコメントも抽象的であるし、彼自身も悩んでいるところがあるのだろう。
ここは、思い切って選手を入れ替えてみることもひとつの解決方法かも知れないし、前季の連勝していた頃の分析をもう一度やることも必要だろう。
開幕の鳥栖戦、徳島、札幌戦などを見ると、相手チームの、ゲーム前の「アビスパ研究」に比べ、アビスパ側の相手チームの分析・研究が弱い点も見逃せない。これは指揮官能力の問題ではあるが。