中澤の、高くて強い存在感

■さて、後半
ハーフタイムに歌う気鋭の歌手の登場でスタンドは更にヒートアップ。煽り煽られホームの温度も熱くなる。
テーハミングッ!」の声が更に大きくなる。圧倒的なゴル裏の声援。

後半、開始早々に駒野のシュート気味の鋭いクロス。その後の5分位、村井が高めのクロス。この二人のボールの軌道が、後半の日本の攻撃の意思を表す。
その数分後に韓国がチャンスを作る。8キム・ドヒョンの強烈なミドル。落ち着いてるGK土肥が片手でクリア。
一進一退の攻防。

しかし、韓国の選手たちは疲れていた。
後半すぐに足が釣る選手たち。
ドリブルでよろける。足にきている。途端に運動量が落ちていく。
案の定だ。

後半10分過ぎだったと思う。(自分のメモは10分過ぎ。詳しくは時計を見れず)韓国、右サイドのクロスにDFのクリアが甘くこぼれたところを20イ・ドングク(韓国サポの彼への声援は非常に大きかった)の反転シュート。ゴール上。ここで坪井が倒れこむ。
ベンチを飛び出たドクターが治療するが両手で×印で、坪井アウト。
ベンチでは、大黒がひとり後半開始から熱心にアップしていたが、急遽入ったのは中澤だった。坪井アウト、中澤イン。ここでようやく3バックに。
途端にDFラインが上がったように見え、中澤の存在でDF陣に落ち着きが見える。
中澤は、誰よりも高くジャンプする。誰よりも玉際に強く動作も早い。彼の高くて強い存在感はピッチ全体を落ち着かせる。

中澤インの後、駒野、村井の位置が高くなる。日本は中盤を厚くし攻撃の陣形整う。
ベンチが動き始める。選手たちのアップが激しくなり、ベンチ采配に注目が集まる。

25分頃、疲れの目立つ本山アウト、小笠原イン!
待ってました。一番いい形になった。後ろに中澤、中央にオガサ。これで、前線にボールが収まるようになる。ボールが収まると駒野と村井が生きる。サイドの動きも激しくなる。
後は、大黒待ちだ。

ジーコには色々と問題は多いが、選手たちの息遣いを感じ取り相手チームのくたばり加減を読み取る目。そして早くも遅くもないタイミング。
遅いと言う人がいる。玉田の調子が今ひとつであったから、大黒インのタイミングは自分もそう感じたのだが。
ジーコの、このあたりのゲームを読む目やタイミングは、鋭いし当たっている事は確か。
後半、20分頃から韓国の攻撃には全然、鋭さが見れなくなった。
後半30分過ぎに両チームとも3人の交代枠を使い切る。
中澤ーオガサー大黒のDF、中盤、前線で主軸の役者が揃う。

後半40分前後、眼前で大きなチャンスが生まれる。駒野の突破の後だったと思う。日本のリズムが良くなる。良くしたのはオガサであるし、駒野であるし、阿部である。そして、巻である。
オガサがCKを蹴る。日本サポ、声を枯らして声援を送る。なんだかオガサも気合が入ってそう。鋭いキックから放たれた瞬間の爆発!歓喜
巻が韓国DFを連れツブれ役。中澤がネットを揺らす。
「巻選手を応援するツアー」の声たちは、中澤とともに懸命に仕事する巻にもエールを送る。

湧き上がる日本サポ。ウルトラスの中から4本の発煙筒が炊かれる。
そのオレンジ色に輝く炎と、立ち上る煙こそ、韓国代表との戦いでこそ相応しい。

ここでも、結果を出した中澤。
アジア杯を戦い、最終予選を戦い、名実とも日本代表の壁となった中澤は、まぎれもなく史上最高のディフェンスと言って良いだろう。