「ジーコの物指し、ヒデの尺度。」その5.

■ヒデの修正能力

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その1.
その2.
その3.
その4.

ホンジェラス戦について、スポ新4紙(日刊、スポニチ、放置、サンスポ)、開催地元紙である河北新報、全国紙では朝日、読売、毎日、日経に目を通した。
自分にとっては日経(日本経済新聞)が適切な記事で一番に目についた。

吉田誠一氏のコラムの中に監督や選手のコメントでいくつか目にとまった。
「途中で投げ出したくなるような試合・・」(ジーコ・談)
「うまく回されてパニックに陥った」(浩二・談)
「お互いの正しい距離がつかめなかった」(宮本・談)
しかし、吉田氏が指摘しているように、『ただ、試合中に自力で修正を試み、ある程度の落ち着きを取り戻したあたりは3年前になかったこと。2点目を失ってから中田英が1列下がって3ボランチを形成。後半はさらに中田浩中田英に代わってボランチの中央に座り、中盤のいいバランスを見いだした。』

すべての修正はヒデによるものであろう。
確かに彼も小さくないミスを犯したが、ヒデのゲームを読む目と修正能力が混乱に陥ったチームに落ち着きと修正を加えることができた。

3失点目は前半ロスタイムの自らのミスからだったが、1点目、2点目、4点目と失点するごとにヒデは、ボランチふたりを呼び、サイドの選手に声かけた。前線のヤナギへ指で合図し、DFへの指示をした。
いずれもTVには写ったかどうか知らないが一度はピッチサイドでジーコとも話ししていた。

現在の代表チームはジーコジャパンと称されるが、間違いなく「ヒデのチーム」といえよう。
選手目線のジーコは、いつであってもヒデに全幅の信頼を置く。
ヒデのゲームを見る目や彼の修正能力は世界の代表チームの中心となるべき選手の中でも抜き出ていると自分は思う。
ゲーム中の瞬間瞬間の個々の判断力や閃き(ひらめき)はヤナギの方が鋭敏*1であるだろうし、選手としての技術力は小野伸二の方が上かも知れない。しかし、ゲーム全体を読み取る目や修正能力はヒデ以上の選手はいないと自分は思う。
また、現在のところヒデ自身がその能力を十分に使えるチームは日本代表チーム以外にはない。
ヒデの修正能力があればこそ5得点を奪い逆転ゲームとなったのだ。
■4失点の重み
自分は、逆転勝利に浮かれることなく、今回の4失点については代表チームとしてまたバックアップすべき協会としても、詳細に分析・検討すべき大きな問題だと思う。
何より、WC本選まで1年を切った今、親善試合とはいえ国を代表して戦うサッカーが、どう考えても「4失点は恥」であると思えるからだ。
「4バックのサイドがつり出され、素早く中央にパス、最終ラインとボランチの間にあるスペースをうまく使われ」大きく崩され、積み重ねられた失点。

そして、4失点した相手はフランス代表でもアルゼンチン代表でもない。

4失点について、「中南米だから」とか、「ホンジェラスだから」とかいう視点は自分はすべきではないと思う。
確かに中南米には結果としては相性は良くないのだろうが、対戦相手は何も前日に決まった訳ではない。
今回組み込んだ選手間の個々の連携のズレや位置取りゲームの入り方にひとつの問題があったのは間違いないとしても。
大きな要因は相手チームを甘くみた。相手を舐めてゲーム開始のホイッスルを迎えたところにあると自分は思う。
ジーコがいつも言ってることであるが、どんな相手であっても真摯になって取り組み緊張感を持って迎えねばなるまい。
ヒデ、俊輔不在(三都主も不在)の北朝鮮戦や国内組を主体としたイラン戦ではそれができていたと思う。

さて、
自分が同じく現地で観戦した東アジア選手権で韓国代表と戦ったメンバーが、この度のホンジェラス代表と対戦して「4失点も」するだろうか。

代表メンバーとして後がない彼らは5得点は難しいかも知れないが、少なくとも4失点という無様な戦い方はしないだろうと思う。
村井、駒野、今野、阿部ら中盤は、茂庭や茶野、坪井たちDFと連携し、全力を傾け集中して戦い、(無失点は難しいだろうが)大量失点を未然に防いだに違いないと自分はひとり思っている。

*1:「ヤナギの閃きは自らの肉体さえ追いつけない程だ」とは、敬愛するWさんの言葉であるが。(笑)