シャムスカ兄弟とジーコ兄弟

■同じサッカー観を持つ気の合う兄弟
どちらも日本で仕事する同じブラジル人の指揮官である。
大分を変貌させたのは、監督だけの仕業ではない。彼には精緻なデータを駆使し分析家でもある弟(ヘッドコーチ)が存在する。
兄弟で練られた戦術は何も特別なものではないらしい。
彼ら兄弟が取り組んでいるのは、対戦相手の戦い方をどれだけ詳細に分析し、選手たちに動機づけするか。
そして、選手たちに自信をつけさせるか。

「まず、最初にヤナギダ(サテライトコーチ)が、対戦相手の全てのビデオテープを試合中の様々な場面ごとに分類する。すなわちCKやFK、守備的なブロック、左右それぞれのサイドなどに全てのビデオを分ける。それをマルセロ(弟)が画像を選んで僕のところへ届けてくれるというわけ。僕は僕で、必要だと思う映像を選び出し、それを選手に伝えるんだ。選手の前日には選手たちが相手の戦術や細かい地域の動きなどを見て、分析できるようにしている。そして、試合の当日にもある種の映像を選手たちに手渡すんだ。」(「エルゴラッソ」より)
ガンバ相手については、「試合の前日の夜には僕が持つ全ての資料、つまりテーマごとに分類したDVDを選手たちに渡す。もちろん一週間の練習の中でも、対戦相手がどんなポジショニングを取ってくるのかや、セットプレーでのポジショニング、マークの仕方など、実戦で起こりうる事柄を随時指導しているけどね」(同じく「エルゴラッソ」より)

以上は、彼らがやろうとしていることのサワリのホンの一部のようだ。
これらは、何も真新しく特別なことではない。普通のプロサッカーチームの指揮官ならいつでも取り組んでいることだろうと思う。ただ、徹底しているかどうかの違いはあるが。
しかし、その手法も、取り組み方も、日本サッカー協会が後援するチームを預かるジーコ兄弟とは”真逆にある”といえようか。
■J1残留は決定
J1で、しばらく前まで降格争いの位置にいた大分は、シャムスカ就任後、5勝1分と快進撃。勝ち点35を奪いJ1残留をほぼ決定している。6試合であと1勝すれば良い。
(自分は、J1残留”確定ライン”を勝ち点38と見ている。13位の新潟以上はほぼ確定。)