風を読む

[J2第38節、鳥栖甲府]
鳥栖のキャプテン・シュナイダー潤之助は、コイントスに勝ち風上を選んだ。
つまり、いつもと違うエリアで前半を戦うことを選んだのだ。
戦闘能力で勝る甲府相手に前半勝負と賭けたのだ。
自分は、瞬間、少し違和感を感じた。

確かにホームで先制点を取り後半に交わす戦いをしたかったのだろう。しかし、今の鳥栖甲府を”交わす”戦いができるのか。
いずれにしてもこれは吉と出るか凶と出るか賭けだった。
自分は、前半なんとか凌ぎ切り、相手が疲れた後半こそ風上で勝負に出るべきではないのかと思った。
疲れた時こそ、いつものホームのサポの眼前で攻撃もできる。

実は、甲府こそがそのような戦い方をした。
後半走れなくなった鳥栖相手に風上に立ち2得点を上げ逆転勝利してしまった。
風を読みその利点をうまく使うこともサッカーなのだろう。
しかし、バテてしまった後半こそ欲しかったポジションチェンジも、逆サイドへの展開もできなかったのは、鳥栖の選手たちの若さ故だけだろうか。
風に頼るとそれに乗せようと大きく蹴りこむ。精度は悪い。

同点にされた場面で、イクオさんはベンチから飛び出し、守備陣への指示をあれこれ出していた。
大木さんは前半じっとベンチに座り動きを見せず、後半になって何度も逆サイドへ早く回せと指示しているように見えた。

前半、良い戦いをしていただけに、鳥栖にはゲームの流れを読み切り替えのできるベテランがひとり欲しいと思った。”シュナ潤”では、未だ無理というものだ。
この試合は、鳥栖のひとり相撲に見えた。
しかし、引きずるような敗戦ではないと思った。