DREAM PASSPORT

ヴァンフォーレ甲府入れ替え戦の戦いぶりと小クラブの勢いづいたJ1昇格は、J2の他のクラブにも良い意味で刺激になっていると思う。
J1からの降格チームは無論、個人的には札幌、山形、仙台など北の3クラブの戦力強化に注目したいが、一番興味深いのはやはりサガン鳥栖であろう。
選手層に難のある鳥栖が、今季、たった一度だけだが2位につけた。
最前線に立つ井川さんの感性と行動力には、いつも感心させられているのだが。昨日早くも来季に向けた封書が、拙宅にも㈱サガンドリームより届いた。
鳥栖甲府と同様、財務的に何度も立ちゆかなった経験を持ち、クラブ存続の危機を何度も迎えてきた。
チェマン鈴木氏の良い意味での恫喝の後、佐賀県の要請で井川さんが受けたのだが、これまでクラブの体制作りは順調に来ているといえよう。観客動員の伸びがそれを物語っている。

年間平均観客動員数:
前年度 平均観客 今年度 平均観客 対前年差 対前年比
04年 3,710人 05年 7,855人 +4,145 217.5%
そういえば、井川さんが一番先に取り組んだのがクラブ事務所の鳥栖スタジアムへの移転だった。彼の本気度はここに端を発した。 自分は日程的に博多の森開催が重ならない限り、来季も鳥栖スタジアムへ足繁く通うことになるが、J2は、J1とはまた違う面白さに満ち溢れている。
[Passport to J1]10,000人のサポーターがJ1へのパスポート 「夢のJ1へ昇格するための一番の大きな力は、毎試合応援してくれるサポーターです。そして、サポーターが年間パスを買ってくれることが大きな力になります。年間パスの売り上げが、選手の強化費になるからです。つまり年間パスを買うことは、チームを支える誇りを買うということです。私たちは名付けました。夢のJ1へ行くための年間パスをSAGANTOSU DREAM PASSPORTと。10,000人のサポーターがサガントス・ドリームパスポートを持てばきっとJ1への扉が開きます。」(封書の資料より)
パスポートは6種類。数々の特典と地域の店とのタイアップは井川さんらしい極め細やかさ。 VIP席限定80席のドリームシートは、席専任担当のサービスマンもつくと言う。 大口スポンサーへの営業も確かに大事なことだが、小口法人や個人のサポーターを数多く安定的に集める方が、地方のクラブの経営を長期的に安定させる道。何より個人は日々消費し続ける。 井川さんは、突然にクラブを引き継いだ今季は自ら現場に下がって諸問題を身体で体験し、行動力と信頼をサポーターに見せ続けた。今季途中には独自のソーシャルネットワークも立ち上げた。 来季からこそが、彼の本領発揮の元年となるだろう。 イクオさん(松本監督)との親密な二人三脚ぶりで来季はサガン旋風を起こすに違いない。 そして、サッカーを愛し、小さな地域のクラブを応援し関心を持ち続けるならば、できる範囲でいい、可能な限りのサポートをすることもサポーターの成すべきことであろう。 一過性のファン作りももちろん大切ではあるが、良質なサポーター作りこそが良いクラブへの重要な昇り階段となろう。 V.ファーレン長崎は来季JFLへ参入することだろうし、そしてロッソ熊本は1年目で一気にJFL優勝を狙うだろう。健全経営の特徴ある九州のクラブが、数多くJ1へ上がることを我々は待ち望んでいるが、そこでサッカー土壌はより豊穣となる。 やがて再建に成功したサガン鳥栖は新興クラブのモデルとなることだろう。