「今こそ福岡に力を」

今年も残りあと半月余りとなった。
振り返ると、長い人生の中でもこの一年ほど多くのことが起きた年はなかった。自分の身の回りも、大きな変化やできごとが多かった。
家族が健康で健やかに過ごすことが、あるじたる自分の幸せにも繋がることでもあるのだが、どうやらそれさえ不完全であったように思う。
プライベートのことはおいて置いても、これまでになく怒涛の一年であったことは確かである。
そして、一年を振り返って、ひとつだけキーワードを選ぶとしたら。
やはりこれしかないように思う。
■「今こそ福岡に力を!」
3月20日、午前11時少し前。九州北部を強烈な地震が襲った。
福岡市沖の玄界島では家屋が倒壊し、全島民が被災を受け今でも避難所暮らしを余儀なくされている方も多い。県も市も考えれる限りの被災支援策を実施中である。
発生当時は偶然としか考えられないが家族全員が自宅にいた。そして猛烈に、激しく、この世のものとは思えぬほど地の神が猛り狂うさまを家族みんなで体験した。

「試合に向かうバスの車内でアビスパ関係者の家族の安否が分かってきた。部屋の家具などの被害はあるが無事の知らせを電話やメールで受けた。安堵感が漂うロッカールームを出てグランドに降り立った時にはっとする光景が目に飛び込んできた。《今こそ福岡に力を》サポーターが掲げたそのメッセージは自分たちの存在を改めて認識させてくれた。」(岡山一成「オカヤマが行く」より)

「自分たちと同じように遠い福岡の地に家族を残し、連絡がつかず心配しただろう。だけど、あえて仙台の地に残りアビスパを応援することにした人達。その思いは、いま自分に出来るのはアビスパを応援して勝たせて福岡の被災者たちを少しでも勇気づけるしかない。そのメッセージは家族の安否を知り安堵した自分達を戒めてくれた。そしてロッカールームで円陣を組み、一人の選手の言葉と共に心を一つにして、グランドに向かった。「被災者の人達の為に絶対勝とう」(同じく「オカヤマが行く」より)

アビスパの魂”ともいえるMFホベルトは、地震の報を聞きつけ、被災に合った人々のために「絶対に優勝しよう」と、ロッカールームで仲間たちを鼓舞し続けリーグ終盤まで言い続けた。
彼の奮闘は自身の股関節を長く痛めるほどで、己自身の肉体の損傷を見返りにしてもチームの為にと奮闘し続けた。
「今こそ福岡に力を」
これはサポーターが掲げたゲーフラであるが、大変に厳しい環境条件をむしろ糧にし、その後の厳しい一年を乗り越える為のエネルギーともなった言葉だと思う。

(3月26日、博多の森玄界島の皆さん、一緒に頑張りましょう!」)