疾風の如く

[セレッソ大阪アビスパ福岡]:2月12日、宮崎市国際海浜エントランスプラザ

[セレッソ戦先発メンバー]
GK.水谷、DF:北斗、金古、千代反田、アレックス、MF:ホベルト、布部、光平、誠史、FW:グラウシオ、佑昌

◆コンパクト、プレッシングサッカー
アビスパは、プレッシングの利いた非常に小気味良いサッカー。まだ2月半ばであるが全ての選手たちがスピード感溢れる状態で動けていた。個々の連動性にはまだまだで課題は残っているが、しかし主力選手は変わらずベースはこれ迄に培ったもの。この日の前半のようなあくまでもコンパクトで守備組織に優れたサッカーができれば、結果はともかく浦和、横浜等上位のチームとも互角なゲームはできるだろう。
仕上がりが早くないと思われるセレッソアビスパのモチベーションの高さに押されて外々へボールを上げるのみ。アビスパのスピードにもついて行けなかった。
目についたのは、光平と激しくポジションチェンジを繰り返した誠史の、なんと献身的とも思える守備(笑)敢えて、表現すれば。粘り強いマムシのような守備の右の北斗。逃げ惑うネズミを執拗に追い込むような左の誠史の切れ味ある匠の技。

1本目:2−0、得点者:光平(15分)佑昌(30分)


◆疾風の如く
光平のゴールはセットプレーのこぼれ玉をゴール前正面からミドルで押し込んだもの。佑昌のゴールは、1タッチでつなぎながらグラウシオが返したボールをセレッソDFの中央に抜け出した佑昌がネットに突き刺した美しいゴールだった。
ユース上がりの佑昌はJ1では全くの無名。疾風の如く抜け出すスピードにセレッソ関係者が驚くのも無理はない。
まだエースと呼ぶには若過ぎる20歳の佑昌はどこまで成長するのだろう。

2本目:0−1、得点者:古橋(セレッソ

セレッソは途中でモリシが怪我の為、宮原と交代。モリシの怪我は軽いと思われるが、西澤1トップのモリシと古橋の2シャドーのユニットは、一瞬の展開で大きなチャンスを作れるだけの破壊力がある。キープ力もありバランスの良い古橋の動きは相手チームには脅威。もちろん運動量日本一のモリシの動きがあればこそ活きるのだが。
アビスパは、2本目で布部→松下、ホベルト→吉村、佑昌→薮田、グラウシオ→林と交代。この4人がこの日のテスト要員か。この4人は、3本目、4本目も先発。

(プレスに取り囲まれる佑昌)
◆林への喝采

3本目:1−0、得点者:恭平(44分)
GK神山、DF:平島、川島、宮本、辰徳、MF:恭平、松下、吉村、薮田、FW:有光、林

この3本目に先発した先発組のモチベーションは半端なく高かった。前日の3チームに分けた主にセットプレーの対抗戦もこのチームが優勝したが。控え組主体のセレッソはボールを中央に持ち込むことがほとんどできなかった。
アビスパは、吉村と薮田が良い動きをしていた。薮田はもう少し周りとの連携やタイミングを染み込ませる必要があるが、時折り見せた鋭い動きはバクスタの喝采ものだったし、右の吉村は十分に使えそう。
ついでに。一度だけですが、ボールキープからの突破の強引さで、むき出しの根性を見せ、囲まれた相手DFとの喧嘩に勝った、今季、サポーターの過剰なまでの期待を集める22歳の大器・林に、大きな大きな歓声と拍手がこの日一番の大きな歓声であったことを付け加えておこう。

(写真:左の匠)
◆FW補強は、実は川島だった

4本目:0−0

この日の注目は、4本目にあった。
試合途中に右SBから移動した平島と、松下の両ボランチもキレある動きでチャンスの芽をツブしていたし目を惹いていた。中でも守備面に置いて平島はボランチ能力の高さを見せていた。
しかし、やはりなんと言ってもこの日の注目は川島であろう。
DF登録であるが、宮崎キャンプからFWのポスト役に名乗りを上げた川島は、林や有光などよりもキープ力があり、しかもヘディングだけでなく足技がしっかりしている。
この日の川島は、昨年J1最少失点3位のセレッソDFを抜き去る突破力も時折りみせ、大歓声を浴びていた。
後半途中から電柱を出したがる松田さんの戦略からすると、太田去りし後、神山とともにチーム最高身長(188cm)となった川島に声がかからぬ筈はなかろう。川島はそれに見事に応えていた。

(写真:川島らにホワイトボードで指示を与える松田さん)
◆2シーズン制
自分は、前日の11日の練習がまるでリーグ期間中のような調整練習だったので実はガッカリしていた。
他のチームの肉体を追い込むような練習や、緊張感漂う組織的な練習など見るとどうしても”甘い”と感じざろうえなかった。
しかし、そうではなかった。アビスパの選手たちは既にデキ上がっていたのだろう。

アビスパは、今季を3月5日の第1節から、5月6日の第12節までを1シーズンと考えて取り組む。
1シーズン目が終わって、2シーズン目は7月19日から始まる。その2ヶ月余りのWC中断期間中に、身体のケアやチーム体制の立て直しをやるには十分過ぎるほどの時間がある。
J1復帰したアビスパには、決して失うものもないし余裕もない。がむしゃらに、そして遮二無二、シーズン序盤から突き進むしかないのかも知れない。

そういう準備をしているように見えるのは私だけだろうか。