シシリーからの帰還

メッシーナFW柳沢敦の鹿島復帰が6月30日までのレンタル・完全移籍オプション付きという形で決定した。メッシーナのフランツァ会長が20日、鹿島の鈴木満取締役強化部長と移籍交渉を行った。話し合いは、午前中から始まり、昼食を一緒に食べ、休憩をいれながら行われ、終了したのは19時すぎだった。柳沢は2004年7月に期限付きでメッシーナ入りし、1年後には3年契約で完全移籍したが今季、鹿島への復帰を希望していた。」(ヤナギ公式サイトより)

ヤナギのセリエAチャレンジには、残念なことに結果が伴わなかった。
そうであってもこの3年間の体験は決して無駄である筈がなく、彼自身の人生にも、サッカー選手としての今後に必ず役立つものだろうと思う。
■忸怩たる思い
WC後の「6月に再び話し合う」といってるが、間違いなくヤナギは、これでイタリアから撤退し決別すると思う。彼は、サッカー人生再出発の気持ちで3月からのシーズンに立ち向かう筈だ。

今回、チーム間の話し合いと幹部たちの”配慮”で彼の意思の通りに決着することになったが。その周りの人々のサポートに応えるには、彼自身が仕事で返していくしかない。
これまで、チームの為に給料分の仕事をできなかったことは彼自身としても忸怩たる思いがあろう。
私も個人的には色々と思うことはある。が、しかし、長くヤナギマニアとして彼自身を見ている者にとっては、彼が、どこであろうと、”ピッチの上で自らの意思でプレーできる舞台”を持つことは何より喜ぶべきことである。*1

■大きな戦力補強
指揮官交代以外に大きな戦力補強がなかったアントラーズであるが、チームにとっては何より大きな補強となるであろう。
そして、新たな指揮官アウトゥオリ監督の下、緻密な指導と戦術で若い戦力を生かそうとしている今季のアントラーズにはチームに躍動感が蘇り、スタジアムにも観客が戻って来るだろうと思う。
また、個人的に期待している田代や野沢たちにも良い刺激と好影響となるに違いない。
ヤナギほど、前線でゲームを読み取る力を持ち、どんな相手であってもスペースメイクに長けた運動性を身につけた動き出しの早いプレーヤーはいないのだから。

*1:実は、彼を見続けることは、ジェットコースターに乗り続けることでもある。02年WCに出場できたとはいえ、これまで必ずしも順調でなかったヤナギのサッカー人生。数え切れぬほどの落胆状況や過ちもあった。それらの長い時間を我々は共にしてきたのだ。そして勿論、彼の躍動感溢れるプレーに大いにこころときめかした時もある。今後も彼を見続けることは、これからも幾多の歓喜の高まりと急降下があるということを覚悟することでもある。