太田コール

[J2第5節、サガン鳥栖ザスパ草津]:鳥栖スタジアム
■ようやく初勝利

サガンは、前季、セレッソに抜かれるまではトップ下の宮原を中心としたチームであった。ボールも良く回り彼が繰り出すパスからサイドの選手たちが生き生きと攻撃参加できていた。
チームも一時は、首位のパープルサンガに次ぐ2位まで勝ち上がったこともある。

井川さん2年目の今季は抜本的にチーム作りを見直し、J2のどのチーム以上にDF面の強化を図り、しかもJ2には勿体ないような尹晶煥ボランチに置いた。
今季は、彼を中心としたチームを作ろうとしている。まだ途上。

しかし、開幕から試行錯誤で中々結果が出ていない。流れるようなボール回しやサイドからの切れ味鋭い攻撃は影を潜めたままだ。
育夫さんも悩んでいるに違いないが、これまでのところ「サガン鳥栖らしさ」がどこにも見受けられない。

繋がりの悪いこのゲームも、主審からPKを”2本も”献上され、ようやく今季の初勝利を上げた。
ゲーフラ「太田」と彼への熱い声援
自分は、昨年までアビスパに在籍した太田に声援を送るため、ザスパ側のゴル裏中央で観戦した。

驚いたことに、群馬から駆けつけたザスパサポの10倍以上を越える人々、アビスパサポーターがゴル裏に集結した。博多の森で見慣れた方がとにかく多かった。
組織的な応援はできなかったが、ゲーム中は気持ちをひとつにして太田に声援を送った。
後半太田が交代出場する迄は、奮闘するGK高木には「高木コール」を共に送り、何度中井がミスしてもザスパにエールを送り続けた。声援に応えるかのようにザスパの島田たちは良く頑張っていた。

太田が入ると、当然のごとくターゲットができ、途端にザスパの攻撃にリズムが生まれる。
結果は出なかったが数多くのチャンスを作り、身体を張ってプレーしていた。

今のザスパのシステムに太田は合っているように思った。

ゲーム終了後には先頭を切って、チームメイトを引き連れ、ゴル裏に太田が挨拶に訪れた。

多くの人々の声援と励ましに、彼も丁寧に頭を下げ、何度も何度も「ありがとうございます」と、口にしていた。

昨年の最終戦以来。久しぶりの九州。
彼は福岡大学出身、昨年まで誰よりもアビスパサポーターから愛されてきた。

挨拶の後に、何かを振り切るように歩く彼の横顔に、うっすらと光るものを見た。

196cm。Jリーグきっての長身男。そして誰よりも人情に厚く、サポーターを大切にし、気持ちが熱い男。
頑張れ!太田。