J監督を見る

■同級生対決
[J1第8節、C大阪ー福岡]

松田さんと小林さんは45歳で同じ長崎県出身。進学校(長崎北)と小嶺サッカー(島原商)の違いはあるが県代表で二人は2トップを組んだこともある。その後大学サッカー(大商大と筑波)を経、一時期はマツダサンフレッチェと同じ釜の飯を食っている。
そして小林さんはアビスパのサテライトの監督の経験もある。
「監督同士の戦いでもある」とは松田さんの弁。

このゲームはグラウシオが久しぶりの先発でようやく攻撃の基点ができた。4−5−1の新システムは、薮田と久藤を活かすための布陣であるが。
セレッソの守備
久藤が抜けたセレッソは、まだチームとしてのカタチが作れずにいる。特に守備面で課題を持つ。しかしこのゲームはアビスパの激しい守備組織を目の当たりにし、それに合わせて戦っているうちに、これまで開幕から非常に不安定だったセレッソの守備が次第に安定を見せるようになった。
アビスパは前半いくつかの得点チャンスがあったが、それを決めきることができなかったことが残念である。ホームのセレッソが慎重にゲームを対処したこともあるが。
○楽しみな城後

ホベルトボランチを組む注目の城後は、ここ数試合のゲームを重ねるうちに彼本来の能力を見せるようになってきたように思う。
19歳2年目の大型ボランチ(183cm77kg)でもある城後ほど広くて厚い伸びシロが期待できる選手はいない。布部が怪我で欠場している間に数多くの経験をしてほしい。
危険を察知する強くて鋭敏な意識、激しい運動量、それを賄う身体能力。何より2列目から飛び出せる攻撃力は大きな期待を持たせるものがある。
このゲームもミドルシュートやオーバーヘッドキックを見せていた。

彼がJ1仕様になる日は近い。
○モリシ!!

それと、モリシ、300試合出場おめでとう!

試合後、モリシは小さな身体に抱えきれないほどの花束を抱えて笑顔を見せていた。もちろんいつも通りに”恐縮して”いた。
■名匠の言葉
[J1第8節、鹿島ー清水]

『日本サッカーは世界と早くレベル差を詰めたいということでプロリーグが作られ、それに合った指導法や方法論が求められている。時間をかけて改善していく方法もある一方で早く進めるやり方もある。私は世界のサッカーの流れに適した方法でやっている。もっと高いものを求めていかないといけない。』(清水戦後にアウトゥオリ監督)

彼は鹿島の指揮官としてだけなく、日本サッカー界にしっかりと足跡を残すだけの指揮官だと思う。

『フェルナンド、田代、深井はベンチにいながらにしてゲームを読んで試合のリズムに合わせて気持ちを上げてくれた。結果として自分の采配が当たったとかいうよりも、選手たちが試合の状況に適した仕事をしてくれたことが大きい。今日はそれができたと思う。』(清水戦後に)

何も戦術や布陣を指示するばかりではない、選手たちがピッチ上で自ら”状況に適した”仕事をできるようにすること、こそが名指揮官たるゆえんであろう。オシムさんがそうであるように。
言うに易し。控えの選手たちが「ゲームを読む」「試合のリズムに合わせる」こと。
○世界一のリスペクト

『最後にこの場を借りて、清水の監督にすばらしいチームを作っていると言いたいし、選手たちにもそう伝えたい。選手たちが組織的に動き、連動性も高い。今まで対戦した相手の中で一番すばらしかった。いい方向性でチーム作りに取り組んでいる。この調子でがんばってほしい。』(清水戦後に)

試合後に相手チームをこれほど褒め称えたコメントは、今季初めてといって良い。
臨機応変であること

『以前話したように私のチームは90分通して同じフォーメーションでやるチームではない。いろいろなフォーメーションを臨機応変にやるチーム。いろいろな選手がいて特徴があって相手の特質があるし、そういった中でプレーすることを求めている。』(第6節大宮戦後に)

『皆さんに理解していただきたいのは、課題を言うのは内部だけの事情であり、私は「外部に話すべきではない」というモットーの監督なので、そういった質問が今後もあっても答えないということです。それが私のやり方ですので。』(第5節千葉戦後に)
『まず、守備をしっかりやるというのを、私は少しずつ要求していて、選手はその役割に対応できていると思います。』(同じく)

○内田は日本の明るい”光”

『選手個人に対するコメントはなるべく避けているのだが、彼を開幕からスタメンで使うのは宮崎キャンプの時から決めていた。彼は守備もいいし、クロスの精度もあるし、運動量もある。そして、1対1で勝負することができるのが大きなポイントだ。それは今日の試合でも表れていた。日本人は年齢を気にする風潮があるが、我々南米の人間は実力や能力を重視する。彼は信頼するに値するプレーができているから、安心してピッチに送り出せる。彼の存在は今後の日本サッカーにも明るい光だろう。しかし今後は注目されるようになってくるだろうから、その時、いかに献身的に謙虚にできるかが大事になってくる。そんな状況になったらクラブ関係者とともに彼に対していいアドバイスを与えていきたい。』(第4節甲府戦後に「内田篤人選手について」聞かれて)

『監督としては、柳沢のような選手が急に戻ってきて、今日のような活躍をしてくれることは、願ってもないこと。彼の残した結果が全てでしょう。ただ、彼をサポートしてくれた他のチームメイトたちのことも忘れてはいけない。彼らも評価してほしい。』(第1節広島戦後に)

■次(次の次?)の代表監督候補同士の戦い
[J1第8節、横浜ーG大阪]
非常に見応えのある試合。
どちらも分厚い攻撃を仕掛けてくる。「取られたら取り返す」。
両チームとも攻めの姿勢を最後まで崩さなかった。
怪我人だらけの横浜はやや中盤が薄かったが、後ろからそしてサイドから数多くの仕掛けとアプローチで積極的に攻め立てた。大分から移籍した吉田がよく奮闘していた。
しかし守備の良い横浜が4点も失点したのは、ガンバペースでゲームが推移したことによる。
ガンバにはフェルナンジーニョマグノ・アウベスへボールを預ければなんとかしてくれる雰囲気がある。失点はしているが、ガンバはチームとして非常に充実しているように見えた。最近は西野さんの鼻が高く見える。