餞(はなむけ)2.

■潮目に立ち会う

小さい頃。
近所のオジさんに連れられて。 魚釣りに出かけた。
暗い漁港に着き小船に乗って 小さな島へ渡った。

その小さな島の 小さな岩礁に降り、
星空を見ながら魚を釣った。

その時に、生まれて初めて「潮目」なるものを見た。

海が動く、夜明け前に動きが変わる。
その動きの境目が見える。
境目にクロ鯛が湧いていた。

いや湧いてるように釣れた。

一緒に行ったおじさんから、
海が大きく動く時の岩礁のポイントの説明を受けたが。そんなことより、竿がどんどん食い込んできて小さな腕が痛くなった。
我慢して自分たちのサッカーを続けていけば、
我慢して信じ続けていけば、その先に潮目は必ずやってくる。

その先のビジョンと我慢が足りないクラブは、やみくもにその首をすげかえるのだが。
あるいは、潮目があることさえ信じてはいないのかも知れないが。

いや、元々世間は親も子も先生も我慢が足りないのだが。

■餞(はなむけ)
その潮目のゲームが、26日に退任する熊倉さんへの餞(はなむけ)となった。
お疲れさま、熊倉さん。