チームの魂・ホベルト
ホベルトがチームに加入した時。 ホベルトのチームなるといいな、とひとり思った。 ホベルトは、技術が特別に優れているわけでもないし、身体能力が群を抜いているわけでもない。 ミドルが炸裂するわけでもないし、展開力が長けているわけでもない。 ホベルトは、 実は、他の選手にはないゲームを”読む”力が備わっていて。 そして何より戦う”気持ち”や”サッカーセンス”を優れて持っていて。 時たま疲れでミスはしても、彼にはいつでも強い意志と責任感があった。 この時代にあって、 自分さえ目立てば自分さえヒーローになればいいというものもなかった。 彼はチームとともにある選手である。 ホベルトが加入した時に、 ホベルトのチームになればいいな、と思った。 アビスパの守備組織はホベルトがあって熟成された。 少し時間がかかったけど。 ホベルトのチームになって、ようやく上のステージに上がることができた。
今季、キャプテンに任命されたホベルトはゲーム後に泣いていた。
試合終了のホイッスルと同時に、 ホベルトは、この試合の事実上のMVPであるGK水谷の元へかけより、 水谷を称え、ふたりで抱き合い喜びあっていた。 ピッチの上で、ホベルトはこぼれる涙を拭いていたが。 ホベルトのキャプテン就任後、初勝利の日でもあった。