ジダンの大会

自分の場合は客観的に見るよりも対戦するどちらかのチームに肩入れして観戦する場合が多い。この大会の決勝トーナメントではこれまでフランス代表視点で見ていたが、このゲームに関してだけはゲーム終了までポルトガル代表視点で見ていた。
ここまで来ると冒険やリスクを冒すサッカーは、どの国の代表も行わない。
あくまでも堅実に戦うからだ。準々決勝以降はPK戦や最少得点で決着することが多く、ゲームは先制点をどちらが取るかにかかっている。
つまり先制点を相手に取られない戦い方をどの国もとってくる。

しかし、ポルトガルはC.ロナウドフィーゴの激しいポジションチェンジやドリブルを交え、デコを起点に前半からアグレッシブに戦っていた。

フランスには引退を賭けたジダンや、切れ味のあるフランク・リベリがいる。先制点がポルトガル代表に入れば面白い試合になるだろうと思っていたのだが、現実はそうはならなかった。

どちらも1トップで、フランスは左程調子の出てないアンリが囮になり、ポルトガルにはパウレタが踏ん張ってはいたが相手の固い守りで決定的な場面は多くは作れなかった。

ゲームは前半からポルトガルが押してる場面が多かったが、フランスはアンリが得たPKをジダンが決め虎の子の1点を組織で守り切った。
悪くいえば退屈なゲームとなってしまった。

しかし、そうなったからと言ってフランスを責められない。彼らは決勝へ残りイタリア代表と戦うという大きな目標があるのだから。

ゲームは不可抗力やちょっとした気まぐれで決まることが多いしどの国もそれほど大きな差はないのであるが、94:ブラジルー98:フランスー02:ブラジル→06フランス?とWCのトロフィーの行方が決まりそうな気配ではある。
国内リーグ戦を除いてサッカーに国力があるとすれば、ブラジルとフランスが近年の世界のサッカーの潮流の中心であることには変わりはないのだろう。

一旦は代表を退いた選手たちがゲームでも成熟なプレーを見せて大きな舞台で戦っている。
新しい時代が来る前に彼らの老練なゲームぶりをしこたま見せてもらおうと思っている。このゲームでもブラジル戦で全てを出し尽くした疲労感が漂ってはいたが残った力を振り絞って戦っている彼らの「頂点」はもうすぐだ。
個人的にもジダン引退試合がWCの決勝戦となったことを素直に喜びたい。決勝は彼の栄光のサッカー人生の締めくくりに相応しい。
果たして現在、国内リーグで大きな負の遺産を抱えるイタリアが、決勝で意地を見せてくれるのであろうか。