オシムさんの初戦

9日トリニダードトバコ戦(国立競技場)。少しだけ雑感を。
■啓太!
オシムさんは中盤から後ろを、現在Jリーグで”失点11しか”していない浦和勢で固めた。
この日は、闘莉王が良かったし私の目に一番目についたのは実は追加で選ばれた5人の中の鈴木啓太であった。
彼の位置取り、ポジショニング、ケアの仕方、厳しいマーク。いずれもが一級品であった。
今野の怪我によって中盤の底を任されることになったのだろうが、彼のポテンシャルの高さには試合中ずっと目を奪われた。
大袈裟でなく、彼の働きぶりを見てドイツでもヒデや俊輔たちと彼を組ませてゲームをさせたかったと思った。
彼のおかげでDFはキチンと仕事ができたし周りの選手は思い思いに動けていた。
水を運ぶ選手とは彼のような選手を言うに違いない。
ジーコジャパンには水をこぼす選手は多くはいたが、実は今野や啓太や明神のような選手がいなかった。
■アレックスの使い方
この試合はピッチを走る選手たちとオシムさんの手法に大きな未来を感じさせるものがあったが、ゲームとしては前半だけで終わってしまった。
どちらにしてもアレックスの使い方をオシムさんは世間に知らしめたかったのだろう。後ろに控える駒野の見極めの良さと連動性によっても彼が生きた。

■前線の停滞感
そして、動きは良くても前線に若干の停滞感があったのは、このようなゲームに不慣れな選手たちが多かったのと「ヤナギがいなかったから」だと、ヤナギオタクの自分は密かに思った(笑)
このメンバーにヤナギさえ入れば全体の躍動感は更にできるはずだ。ヤナギなら相手が田中達也でも我那覇でも巻でも構わない。
怪我の後の調子さえ戻れば七色のビブスを身につけているヤナギこそオシムジャパンの連動性に必要な選手であると自分は思う。
山瀬も確かに良かったが、いずれにしても中盤から前は落ち着いて周りを生かす選手不在であったように思う。
トリニダード戦の選評
帰りの飛行機の中で全てのスポ新や一般紙を手にしたがどれも的確な記事はなかった。
ネットでは目についたコラムはあったが、プロのライターが書くものはいずれも五十歩百歩であった。
いずれもオシムさんをいきなり語り始めたという「いきなり感」が妙に漂ってしまい冷静で明確なコラムは少ないと思った。
中でも日頃はリスペクトしているつもりの宇都宮さんのコラムに至ってはなんともはや、という感じがした。

「前任者のジーコも、鹿島の選手を多用したことから“鹿島枠”などと揶揄(やゆ)されたことはあったが、」

味噌もクソも”ジーコを否定さえすればいい”のはわかるが。鹿島というチームまで色眼鏡で見るかと正直ガッカリした。彼がどのゲームのどの大会を見て書いたのか知らないが。
鹿島の選手たちを尊重したのはジーコでなくトルシエであることに思い至るべきである。
ま、だいたいがこんな感じであった。