クラブはどこへ行く2.

■左の匠、登場!
横浜戦。ようやく後半開始から古賀誠史が登場した。
それまで蓋をされていた左サイドが8月12日以来の彼の登場で活性化する。
アレックスと誠史のふたりのコンビは現在最高のアビスパの武器である。
前を塞がれサイドブレーキを引いていたように見えたアレックスに燃料が投下される。この二人の連動こそが組織である。
実は、この2人のコンビを3人、4人と躍動感あるものにするのが監督・コーチの役割であるし力量である。
少なくとも相手は日本NO.1ディフェンダー中沢と身体能力に優れた松田が相手であるならなお更だ。
シュート数は16本ー4本。
そして筑陽・ドラゴンの退場という数的優位も効かず得点は1−3。
この日は主審である柏原丈二氏の笛の吹きすぎは確かにあったが、数字以上の大きな問題がピッチに横たわっていた。
■疲弊する選手たち

12節まで1勝5分6敗、10得点17失点、得失点差ー7
13節以降0勝5分6敗、12得点23失点、得失点差ー11

さて「数字が全て」と指揮官を途中交代させアビスパは何が改善され何が進歩したというのだろう。
少なくとも選手の個性をつかみその特長を生かして組織的にさえ戦えばある程度の成果を上げる土壌はあった。
おそらくジーコセレソン仕様の選手任せで戦ったように、川勝氏の幻影にあるのはJ1仕様の強い個を持った戦力にあるのだろう。間違ってもこのチームはJ創世記のプロ集団で満ち満ちていたヴェルディではない。
この日は失点すると下を向く選手たちがいつも以上に多かった。
中盤でボールウォッチャーになり追わない選手。安易に横パスを選択しフリーランニングを失ったサイドの選手たち。
そして専門職のいない前線。
この日の攻めは手数だけ増やし、タイミングの良いサイドチェンジもマイナスのクロスも軽やかなワンツーさえ見られなかった。
相手の弱点もつかず、こちらの強みも生かさないのが最近のアビスパではあるが。
時間が経過するごとにスペースを導き出すための連動も運動量も欠けていった。
■「誠実」とは
最近調べることがあって「イヤーブック」や「J1復帰の軌跡」に目を通すことが多い。
シーズンも終盤にさしかかった現在。
何といってもチーム統括責任者である長谷川氏がイヤーブックで語ったことは全くの絵空ごとであることがわかる。

『今年やろうとしているのは、サテライトチームを効果的に活用することと、下部組織からトップチームまで1本の線でつなぎたいということです。』

公人であるなら仕事は「誠実」に立ち向かうべきである。社会性のある立場であればなお更だ。
誠実とは、”言ってること”と”やってること”が重なり合っていることである。
育成型のようやく育ち始めたクラブチームを無茶苦茶にし、これまで積み重ねてきたチーム強化の連続性は既に放棄してしまった。
そして我々はサテライトにさえ一度も足を運ばない監督を抱いてこの先どうチームの未来を考えていけばいいのだろう。
もはや横浜マリノス戦を細かく振り返る気力もないが、この日は頑張っている選手たちに少し諦念感が漂っていた。
間接的に聞いたことだがクラブの幹部たちは諦めムードが漂っているという。来年の自分の身の置き所でも考えているのか。
債務超過は絶対に許されない
チーム統括責任者の個人的な資質に問題があることは(彼が就任したこの春先から)ずっとこのBLOGでも指摘し続けてきた。その上で彼を放り出さないことにはこのチームに未来がないことは松田氏在任中からずっと書いてきた。
そしてようやく、今この時である。
光陰矢のごとし。過ぎ去ったものはもう帰らない。
もちろん最後まで諦めてはならないが(残留しようが降格しようが結果がどうあれ)この男に新たなシーズンのチーム作りだけは許してはならない。

今期の株主総会、クラブは大ナタを振るった。
過去の清算とともにクラブ名の変更、社長交代と矢継ぎ早に手を打った。
30数億円の減資は社会的に公開された企業では許されないほどの不始末である。今後これ以上の負担には市民は黙っていないだろう。
大きな減資をした企業の1年目の決算が債務超過であれば、市民だけでなく減資に協力した企業が黙っているはずがない。
クラブ経営にズブの素人の社長が、資金集めに知恵を使ったり行動することもなく、何事もないかのように雁ノ巣でボール拾いしかしてないという。
長谷川氏は4ヶ月で1億円余りをドブに捨てた。
クラブ崩壊は始まっている。

■天王山
8月の真夏の4連戦のスタート、京都戦(8月19日第18節)が今季の一里塚と自分は認識していた。川勝氏6試合目のゲームである。
残念ながら結果は遠征してきた京都サポーターの勝利への気持ちが上回った。
さて。
次節はいよいよ後がない”天王山”セレッソ戦である。
もちろんゲームが始まれば必要なのは圧倒的な声援と後押しである。
選手たちには一時も切り替え前を向き、確固たる戦い方を意思統一しチーム全員が共通認識すること。
それ以外にはない。
当然のことだが、最前線には専門職を配置しなければならない。