ジェフ2連覇

[ナビスコ杯、鹿島ー千葉]:11月3日、国立競技場
■中位を争うチーム同士
ナビスコ杯決勝は昨年の方が面白かったし見所の詰まった良いゲームだった。(個人的には昨年の決勝は心情的にはジェフ側からみた。)
それほどガンバはチーム力に長けていた。守備はともかく昨季のリーグ戦の覇者ガンバの攻撃力は尋常でなかった。オシムさんの秀でた戦術でジェフはなんとかPK戦で制したが、ガンバには3人の外国人に二川、遠藤、大黒がいた。
対照的なチーム同士で手に汗握る白熱したゲームが観戦できた。

さて今季は、現在のチーム力からすればレッズ、ガンバ、フロンターレの3チームが抜けていることは明らかである。
早くにリーグ戦の連覇に照準を当てたように見えるガンバはともかく、ナビスコは準々決勝でレッズがフロンターレに敗れ、準決勝でフロンターレがジェフに敗れたのは大きかった。
実は、リーグで連敗続きのアントラーズは組み合わせの妙で決勝に進出できたに過ぎない。
中位を争う2チームの決勝は、今季は国立のゴールサイドでアントラーズの若手の腕試しの視点で見た。

■熟成に向かうジェフ、凋落のアントラーズ
ゲームは完全に実力でジェフに軍配が上がった。
指揮官の戦術はともかく、選手の技術も体力も何よりモチベーションもジェフが上回っていた。
アントラーズは、若返りの途中。
優勝のかかった試合を経験した選手がヤナギ以外にはいない状態。
アウトゥオリも昨年暮れにクラブ世界一という触れ込みは凄いものだったが、どんなに有能な指揮官であってもチーム力をカバーするには限度がある。
ヤナギはWC直前の足の怪我以降十分に機能回復せず、加えて途中でオガサが抜けたアウトゥオリに今季結果を求めるのは酷であったのかも知れない。
しかし今のアントラーズには90分をどう戦うのか、がないようにも見える。
元々サイドの突破を有効に使うチームであるが、それもこれも相手にスペースを与えないボランチからの折り返しがあってこそ、サイドチェンジも展開力もない現在のこのチームには強みとなる攻撃の起点がなかった。
唯一頼るとすれば右の内田篤人であるが、その内田はインド(AFCユース選手権)に抜かれている。
ともかく現在のアントラーズにはかってのようにカップ戦を得意としていた強固な守備はない。加えて今季のGK曽ヶ端は不安定さが増している。博多の森でも感じたがポジショニングも悪いし自信を失っているように見える。
むしろ軟弱な守りをカバーする為に攻め手を見出しながら若手の息吹でなんとか遣り繰りするしかない状態。
ジェフはこの試合でもチームとしての柔軟性を見せた。
攻撃時に大きく左右に翼を広げた野沢、深井の仕掛けに十分な対応をし無失点に抑えきった。

■守備からの立て直し
夕暮れの国立競技場。
ゲーム終了時には座り込み動けない選手多く晴れの舞台で若い選手たちはそれなりに良くやっていたと思う。全力を出し切った深井は大泣きしていた。
もちろんカップ戦を2連覇したからと言ってクラブ体制が揺れ動いているジェフも決して安心できる状態にはない。
しかしチームの熟成とともに自分たちのサッカーができたジェフと、未だに(暗中)模索中のアントラーズ
若手を育てながらこのまま中位路線を走るのか。今季は体制ができた後に新監督を招聘したが、この先もアウトゥオリに任せるのなら、少なくとも彼が要求する選手を用意しなければならない。
若手は随分育ってきたがいずれにしても守備的なテコ入れをしない限りチーム再生はないはずだ。
さて。
中田浩二が抜けて以降、長くアントラーズボランチは不安定なままである。