クラブ改革は可能か

■失った草の根その1.

「クラブの前身中央防犯藤枝ブルックス」は、93年JFLⅠ部昇格後、Jリーグクラブ゙誘致に動いていた福岡市の意向を受け、1995年にチームをこの福岡の地に移転した。チーム名はその後「福岡ブルックス」と名づけられ、1996年Jリーグ入りと同時に「アビスパ福岡」と変更された。」(HAKATA-NO-MORI PROJECTより)

アビスパ福岡は、多くの方の熱心な署名活動を経て藤枝から移転した。
支えたのはコカコーラWJ、九電、市役所など、主な地元企業の出資による第三セクターである。
長くクラブのビジョンさえなく赤字が出れば支援企業に出資額を増やさせ、チーム補強は場当たり的。
そこに積み重ねや伝統、Jクラブとしての誇るべき歴史はない。
クラブは今期、平成18年度の株主総会で多くの地元出資企業の理解を得て32億円の累積赤字を償却したばかりである。いかに夢を売るプロスポーツとはいえ納税者はたまったものではない。
今期、万が一債務超過にでもなれば間違いなくクラブは消滅する。そういう危機感もホンの一部の幹部にしかない。
そして出向者は、出向会社に戻ればもう二度と博多の森へはやってはこない。「興行」であるという認識しかできないクラブのプロパー社員。どう動いてもチーム愛は育まれない。
従前からクラブの出向幹部とプロパー社員の溝は深く、日常的な監査機関もなく業務はノーチェック。組織はあってないようなもの。
現場は一部のクラブの成り立ちや現実を理解しないサポーターの前向きでない要求に右往左往。
百年構想の浸透度合いやホームタウン活動など手がければたくさんのネタはあるはずなのに、マスコミはといえばクラブに煙たがれ、サポーターはメディアを当てにしない。
人々は未成熟なものを未成熟とあげつらい、未完成のものを未完成だとなじる。

誰もが自分以外の人のせい。何ら行動することなく前向きな提言さえ放棄している。
そして目の前の結果だけに一喜一憂するだけの日々。
それが、この地におけるこれまでのクラブの現状である。


■失った草の根その2.
県リーグあたりからチームを見守り、次第にステップアップしていく。クラブの成長とともにサポーターの成長もあり、その過程こそが地域に根ざしたクラブとなる。
「その過程からもう一度やり直した方がいいのではないか。」
近所でチームのスポンサーを続けている方は、会う度にそう言い続けた。何度も。
途中に運良くこの秋は市長選挙などもありやがては行政の長たる方々の意見を伺い、プロサッカーチームをどう見ているのか、Jリーグをどうしたいのかどう捉えてあるのか、多くの候補者にアプローチし確認もしました。
これがラストチャンスではあるが、しかし変わるかも知れない。変わる芽を探そう。変革の確認がなければ見放そう。
これは誰かを弾き出せば済む問題でもない。また繰り返す。だれかを悪者に仕立てるだけでの正義感には限度がある。
このところはそういう覚悟の5ヶ月間でした。
■失った草の根その3.
地元大手企業にだけ依存していくだけでなく、みんなで支えていく制度、みんなで支援する仕組み。
その中のひとつとして、前向きな多くの方のご意見をまとめ「クラブへの提言」としてまとめました。
クラブはどう反応するのか。クラブ中枢は今の現状をどう考えているのか。直接確かめるしか手段はない。
(この項つづく)